第六夜〜『幻の美術館〜甦る松方コレクション』

このコーナーを更新するのも1ヶ月以上になりますが、年内最後の〆と
言うことで書いてみます。

本日取り上げるのは、国立西洋美術館の中核を為す「松方コレクション」
の悲劇の歴史を綴った石田 修大著『幻の美術館〜甦る松方コレクション』
丸善ライブラリー刊のことです。

9月23日にGay PassageのHODGEさまと国立西洋美術館に行った折に
改めてこのコレクションを見てみると「松方コレクション」が如何に重要なもの
だったかが判るんです。モネのコレクションだけで22点!
それだけではなく、ルノワールの初期の傑作『アルジェリア風のパリの女たち』

今の国立西洋美術館の予算では、”絶対”にこの作品群は購入出来ません。

まず市場に出ることが限られますし、国外への持ち出しも困難。そして、予算
なんですよ……モネの作品『睡蓮』モノによるでしょうが………99年のクリス
ティーズ・ニューヨークのオークションで落札された『睡蓮』の価格は日本円に
して23億円!(^^ゞ

2階の一室に纏めて展示されておりますが………今、見るとマルモッタン・
モネ美術館やオルセー美術館のコレクションに比べると流石に見劣りしますが
それでもフランス国外のコレクションとしては有数のものじゃないでしょうか?

前置きが長くなりましたが、首相も務めた明治の元勲、松方 正義の三男
川崎造船所(現、川崎重工業)の社長となった幸次郎さま。
軍需ブームに乗って莫大な資金を得た幸次郎さまは、数千点にも渡るコレ
クションを収集したのですが………まずは金融恐慌の波が川崎造船所をも
直撃!メインバンクである十五銀行により差し押さえを受け……数多くの
売りたてが行われました。その際のコレクションはブリジストン美術館や
大原美術館へ流れ………レンブラント、マネ、コロー、ドービニー、ピサロ、
ルノワール、ムンク、ドガ………と泣く子も黙る大家の名前がズラリ(^^;;

そして、ロンドンにあったコレクションは戦火で消滅(涙)、フランスにて守り
通した男が居たのですが、それも敵国条項により凍結………(涙)

生前、幸次郎と交友があった首相、吉田茂によって、フランスとの返還
交渉がはじまるのですが、それは幸次郎さまの死後一年後の51年でした。
その「コレクションを一点に纏めて保管&展示すること」というフランス側の
条件に従って出来たのが現、国立西洋美術館なんですね。

ですが………この本に書かれてあった記述を見て愕然!!!!!!!

ルノワールの初期の傑作『アルジェリア風のパリの女たち』とゴッホの傑作
『アルルの寝室』(オルセー美術館蔵)は、対の作品として「どうしても返還
して欲しい作品」の一つだった!!!!

ところが、フランス各地の美術館館長組合(?)の反対もあって、「ゴッホの
作品は数少ない」と言う理由で却下されたと言う経緯があるんです。その代
わりに『アルジェリア風のパリの女たち』が戻ってきたという事実。

これらを含め、記述は淡々としているもののテイストは「大河浪漫」そのもの。
初代「大河浪漫を愛する会」として強く推奨致します。

 

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