(喪)『明日、君がいない』

その日もいつもと同じ1日のはずだった。父の期待を一身に担
う兄マーカス(フランク・スウィートさま)と、何故か兄に脅
えている妹メロディ(テレサ・パルマー御嬢様)、マッチョを
気取るスポーツマンのルーク(サム・ハリスさま)、孤立する
ゲイのショーン(ジョエル・マッケンジーさま)、ルークとの
結婚だけを切実に願うサラ(マルニ・スパイレイン御嬢様)、
いじめられても卒業まで3ヶ月の我慢だと自分に言い聞かせる
スティーヴン(チャールズ・ベアードさま)。心が壊れてしま
いそうな秘密を抱え、誰もが窒息寸前だ。やがて、校舎の片隅
でひとつの若い命が消えようとしていた……。

親友の死を切っ掛けに自分も自殺を図ろうと考えていた壮絶な
心象体験を基に若干19歳でこの脚本を手掛けたのは、ムラー
リ K.タルリ監督。今年で未だ23歳と言うから恐るべき才能
です。6人のインタビューとその日の出来事を巧みにオーバー
ラップさせ、登場人物を交互にクロスさせ、時の経過と共に
「彼らに、何があったのか?」を生々しく抉り出す手法は見事
としか言いようがありません。この映画の邦題通りに、明日
君が居なくなるのですが、原題の『2:37』もまた映画を観
終わった後にズシリと来る意味を持っているんです。2006
年度の東京国際映画祭のコンペティション部門で、既に日本公
開が決まっていたのも頷ける出来栄えなんですよ。

総体的に素晴らしいと書きながら具体的なシーンに触れていな
いではないじゃないかと思われる方が居ると思いますが、実は
この映画、凡百のミステリー映画を軽く凌駕してしまう、「あ
る仕掛け」をしてあるんですね。その秘密があるからラストの
衝撃が大きく、悲劇性を高めている様に思えました。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2007年6月9日シネアミューズ・ウエストにて鑑賞)

「あ」行で、はじまる映画の感想にもどる

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送