(罪)『39』(映画編)

刑法第39条は、罪を犯した者への責任能力を問う条項です。

「心神喪失者の行為は、罰しない」

となっておりまして、昨日は書き忘れたのですが、41条の「責任
年齢」(14歳未満の行為は罰しない)と同様に、議論を呼んでい
る条項です。

この映画を、再度考えてみると、刑法39条と41条、そしてそれ
に付随する「保安処分」……そして、誰の為に「刑法」は存在して
いるのかと言う根元問題に迄突き進んでしまうのですが……。

今日は、そうした問題を此方に置いておいてっと……(^^ゞ
映画としての「39」の御紹介&感想をアップ致したいと思います。

都内にて、背中に包丁を突き立てられた男の横には、妊娠5ヶ月
の妻が腹部を切り裂かれ絶命していた。

容疑者として捕らえられたのが、劇団員であった柴田真樹(堤 真一)
であった……取り調べ時に彼は、殺害は認めたものの、殺意は否定。
国選弁護人として長村時雨(樹木希林)が選任されるが、面会の時
に柴田は一転して人格の変化を示す……。
第一回の公判の罪状認否の際に、彼はまたしても不可解な言動を
取り、刑事訴訟法第314条に基づいて公判の停止……司法精神
鑑定を受けることになる……。

これが前半の簡単な紹介です。ミステリーとして製作されております
のでこれ以上の紹介は避けますが、この時の司法精神鑑定の場面
が面白いのです。

杉浦直樹演じる藤代と言う鑑定人は、常に落ち着きが無く、僕が思
うに世の中に絶対的なものは存在するのだろうか?と感じている様に
思えました。僕にとっては、この映画の中に出てくるキャラクターの中
では、一番親近感が持てる人間として描かれておりました。

藤代の助手であり、この映画のヒロインとして登場する小川 香深
(鈴木京香)は、眼鏡を常用し、本来持っていらっしゃる美貌を自ら
の手に因って否定している人間です……。

「精神鑑定」とは言え、どちらも同じ人間としての苦悩を抱えている
ところが非常に上手く感じましたねぇ。

そして、この映画の前半は、意図的に説明を省いております……。
それが苦手な方も多いのでしょうし、通常のパターンですと罵詈雑言
モードの嵐となるのですが(笑)今回は、妙に肌に合うんです。

パン……ポン……シャンと擬声音の様に展開される映像と……墜落
した飛行機のヴォイス・レコーダーか?はたまた渋谷での雑踏の中で
の途切れ途切れの会話か……。

まあ……吸い取り紙と水の関係の様に吸収が良いもので、観ていて
気持ちが良いのですね。

後半の展開は、極めてスムーズに行くのですが、素直に「主張」は受
け入れ難いものがありますが、極めて説得力に富んだ話法の為に、
「映画」として引き込まれてしまうのですね。

「裁判映画友の会」 広報担当
「大河浪漫を愛する会」 大倉 里司(HCD05016@nifty.ne.jp)
(5月3日 渋谷松竹セントラルにて鑑賞)

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