(幕)『今宵、フィッツジェラルド劇場で』

ミネソタ州セントポールのフィッツジェラルド劇場で、長
年親しまれてきたラジオショウ「プレイリー・ホーム・コ
ンパニオン」の、最後の公開生放送が始まろうとしていた。
私立探偵を気取った用心棒ノワール(ケビン・クラインさま)、
名司会者キーラー(ギャリソン・キーラーさま)、カントリー
シンガーのヨランダ(メリル・ストリープ姐さん)とロンダ
(リリー・トムリン姐さん)のジョンソン姉妹、カウボーイ
ソングデュオのダスティ(ウディ・ハレルソンさま)とレフ
ティ(ジョン・C・ライリーさま)らが、次々と楽屋入りす
る。やがてショウが始まり、白いトレンチコートの美女(ヴ
ァージニア・マドセン姐さん)が現れ最後の一夜を迎えよう
としていた……。

さらりとストーリーの一部を掻い摘んで書きましたが、群像
劇が18番だったロバート・アルトマン監督の遺作だけあって
トミー・リー・ジョーンズさま、リンジー・ローハン御嬢様、
L・Q・ジョーンズ御大と賑々しいばかりの配役ですが、こ
れだけの登場人物を配しながら、淡々と物語を進めていく老匠
には些かのブレも感じさせません。
そう……遺作にして、今迄の映画の集大成と言うから天晴れ
な死に方をしたものです。

今回驚いたのが劇中のラジオショウ「プレイリー・ホーム・
コンパニオン」が現在も放送している番組であり、この映画
でも司会者を演じているギャリソン・キラーさまが何と本人
役で出演しているだけで無く、鮮やかな脚本&企画も担当され
たとの事。この方、見た目は実に冴えない叔父様なんですが
ひとたび口を開くと七色の声が出ると言う技をお持ちなので
す。(誇張でも何でもありません!これぞ至芸♪)
そして、この映画も『ドリーム・ガールズ』同様に、劇中の
俳優さんが自分で歌っていて、それが皆さん上手いから驚く!
メリル・ストリープ姐さんがこんなに歌が上手いとは知らなか
ったし、ウディ・ハレルソンさまとジョン・C・ライリーさま
の顔合わせは99年の『シン・レッド・ライン』以来の快挙!
何だか旧友に逢ったかのような懐かしさを覚えてしまうんです
よね……。この二人の歌も(・∀・)イイ!! し、下ネタ全開のトーク
ショーも笑える。

しかし……この映画、基本的には「死」を描いた物語なんです
よね。公開放送中に一人あの世へ旅立ってしまう老歌手も居れ
ば、ラジオ局が大企業に買収され、劇場は駐車場になってしま
うと言う現実もある。最終回だと言うのにそんなことを億尾
にも出さずに番組を終了させる心意気。

賑々しくもちょっとほろ苦いラストで〆てくれる大人の時間。
そんなひとときを愉しみたい方にお薦めしたい一本です。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2007年3月21日ル・シネマにて鑑賞)

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