(黎)『アポカリプト』

マヤ文明後期の中央アメリカ。ジャガー・バウ(ルディ・
ヤングブラッドさま)は、部族長の父や妻、幼い息子、
仲間たちとともに平和な日々を送っていた。しかしその
平和は突然崩れ去ってしまう。村がマヤ帝国の傭兵に焼
き討ちされたのだ。目の前で父を殺されたジャガーは、
捕まって都会へと送られる。各地で捕縛された人間が
奴隷として売り買いされる都会。そこで彼を待っていた
運命は、あまりにも過酷なものだった……。

映画の感想を書くときに、それぞれのデータベースに
アクセスして自分にとって都合の良い情報だけを拾い
集めてくるのでありますが、今回の過程で知ったのは
この映画が138分あった!と言うことだったんです。
いやぁ……時間を感じさせませんでしたわぁ。お見事!
筋書きも極めて単純でして、マヤ帝国に連れて行かれた
男達は神への生贄として壇上から首を切られてしまう
のでありましたが、幸運にもジャガー・バウの番にな
った時に皆既日食が起きて、一命を取り留める……と
ホッとしたのもつかの間。今度は「人間狩り」が始ま
ろうとしていた……と言うものでして、ヒネリも何も
ありません。ですが、このシンプルなストーリー展開
の中に小ネタを幾つか散りばめて、観るものを釘付け
にしてしまう力技。

メル・ギブソンさまの場合、第一回の監督作品である
『顔の無い天使』から観ているんですが、第二回目の
『ブレイブハート』を最後に自分の姿を極力画面から
排除しようとしている様に感じられるのです。それでも
第三作目の『パッション』に関しては神学者であった父
の影響かイエスの生涯をアラム語とヘブライ語で再現し
てみせましたが、今回はどう考えても、彼の生活なり
信条とはかけ離れたマヤ文明。で……俳優陣も映画初
出演の方ばかりをセレクトして撮ってしまった意義とは?






以下、ラストシーンに言及しています。未読の方は御注意
願います。


















この映画の真意は、意外でしょうが最後の最後に隠さ
れていると自分は考えています。それは、キリスト教
に侵される直前のマヤ文明の崩壊。主人公であるジャガー
が言うところの「森に行って新しい住いを見つけよう」
なんですね。彼だけは、黒船では無くマゼラン一行が乗
っていた帆船が来ても特に驚いた節がないんです。
それに比べると文明に毒された(?)追っ手二人が呆然
としているのが非常に象徴的な姿であります。
つまり、「自由人」であったジャガーにとっては、黒船
が来ようがそんなことはどうでも良くて、自分の家族の
安全さえ保障出来れば世界がどうなろうとも構わないの
でありますが、追っ手二人にとっては、初めて見るもの
で言わばパニックって仕舞った次第。

普通の監督だったら、乗り込んでその後の残虐行為を描く
と思うのですが、今回はそれ以前にも残虐な行為が行われ、
後に行われる人身売買の制度も既にあったと言う事を指摘
しているところが、ちょっと捻くれていると言うか興味深
かった点であります。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2007年6月16日ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

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