(婦)『カレンダー・ガールズ』

英国はヨークシャーにある小さな田舎町、ネイプリー。そこで平凡な主婦として暮す
クリス(ヘレン・ミレン姐さん)とアニー(ジュリー・ウォルターズ姐さん)は、毎月、
村で行われる女性連盟のミーティングに参加していた。会のモットーは「自己啓発と
娯楽と親睦」。二人に取っては退屈極まりない存在でありましたが、他にする事も
無く参加している二人。
花屋の夫ロッド(シアラン・ハインズさま)や思春期の息子ジェムと暮らすクリスは、
活動的な性格で、考えるよりも先に動くタイプ。一方、ひまわりの花をこよなく愛
する夫ジョンと暮すアニーは、期が熟すのを待つタイプ。こんな正反対の性格だから
こそ、二人は気が合っていた。そんな二人に人生の転機が訪れる。アニーの夫が白血
病で他界してしまったのだ。クリスは悲しみにくれるアニーを励ますため、女性連盟
が毎年制作するカレンダーの収益で、ジョンのいた病院への寄付を提案する。
しかし、昨年のカレンダーの収益はたったの75ポンドと60ペンス。これでは到底
目標には達しない。そこでクリスが考え付いた妙案。それは婦人会のメンバーが脱ぐ
ヌードカレンダーだった……。

1999年に実際にあった「珍事」を基に描いた作品でして、何と30万部を売り上
げたそうです。そして2003年度東京国際映画祭でも、コンペティション部門に出品
され「本命候補」と目されながら、受賞には至りませんでしたが……

実に(・∀・)イイ!! 一言でこの映画の魅惑を表すならば、英国映画と聖林映画の良い所取り
をした実にチャーミングな作品とでも言いましょうか?
オープニングから月表示がされて、カレンダーを思わせる構成も見事ですし、白血病で
亡くなるアニーの夫ジョンの生前の描写もキメ細やかで、彼を取り巻く廻りの方々の
心情がキチンと描かれているんで、この前代未聞の婦人会ヌードカレンダー作成に至る
決意が自然に伝わってくるんです。
そして、教会でオルガン奏者をしている婦人がこう言うのです。「私は55歳。今脱が
なくていつ脱ぐのよ!」この映画の魅力が実に如実に表されている一言です。
この映画を「女性版 『フル・モンティ』」と評した方も多いと思うんですが、男性
ストリップに挑戦する市井の人々を描いた『フル・モンティ』とは、似て非なる作品。
盛りを過ぎた市井の人が脱ぐところまでは一緒なのですが、まず動機が違う。そして、
「脱いだ後」の変化がキチンと描かれているか……これが、この映画のもう一つの主題。
成功を収め有頂天になってしまうクリス……それとは対象的に、批判の手紙では無く、
支援や共感を寄せる多くの手紙を受け取り、亡き夫ジョンの事をついつい思い出してし
まうアニー。今迄二人仲良くやっていたのに、大反響を招いたことにより、二人の間に
徐々に亀裂が入って行く様。そして……音頭取りのクリスもまた、家業が手伝えなくなり
息子も世間の好奇の目に晒され……。また、ある女性は破廉恥な行為をしたと夫から冷
たくされ、浮気迄されてしまう現実。そうした「成功の裏側に潜む陥穽」をも描ききる
ことで、この映画のクオリティーは数段高まっております。

英国映画でしたら、破局した侭終焉……でもアリなんでしょうが、そこは聖林の良い所
取りで登場人物がそれぞれの円満な解決策を見出し、いつもと変わらない日常。でも……
ちょっと幸せな世界へと道を切り開いていく姿をラストシーンにて描き出している事に
成功している様に自分は思えました。

ビデオ店の片隅に置いてあった為、未見の侭で此処迄過ぎてしまいましたが、借りれる
環境にある方には是非観て頂きたい珠玉の一本として推薦させて頂きます。

「初代 大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2005年7月15日 ビデオにて鑑賞)

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