(音)『敬愛なるベートーヴェン』

「第九」の初演を4日後に控えた1824年のウィーン。
楽譜が完成しない中、ベートーヴェン(エド・ハリス御大)
のもとに写譜師としてアンナ(ダイアン・クルーガー御嬢
様)が派遣されてくる。ベートーヴェンはアンナを冷たく
あしらうが、彼女の才能を知り、仕事を任せることに。
尊大で傲慢なベートーヴェンだが、ただ一人の肉親である
甥のカール(ジョー・アンダーソンさま)だけは溺愛して
いた。しかしカールがその一方的な愛を疎ましく感じてい
ることに気づかない。やがて初演の日がきた。難聴から指
揮を怖れるベートーヴェンを助けたのはアンナだった……。

この映画の大きな特色は、本来クライマックスとして持っ
てくる「第九」の初演を最後では無く、中盤に持ってきて
いる事!これは無いでしょ!と思っていたら本当にやって
しまったので恐れ入りました。で……余った時間をどうす
るのかなぁ……と思っていたら「第九」の後に作られた
「大フーガ」の制作工程……アンナの恋人の建築家マルテ
ィン(マシュー・グードさま)とべートヴェンとの間で
揺れ動くアンナの姿を描いているのですが、映画本編から
見たらどうって事の無いシーンなんですね。
普通、どう考えても「第九」の初演成功……そこまで話を
持っていくのが普通なんですが、それを敢えてしていない
のですねぇ。そうした訳で映画本編としてのバランスは酷
く悪いにも係わらず、不思議な魅力があるんですねぇ。
ベートーヴェンを演じたエド・ハリスさまが、全然似てい
ないのでありますが、それでも圧倒的な存在感があるんで
すねぇ。57歳(意外に若かったのねっ(^^;)その割りに
見事に鍛えられた肉体とのアンマッチが、ベートーヴェン
に秘められた狂気と情熱を文字通り「体現」している様に
思えたのでありました。

それにしても「写譜師」と言う職業があるとは知らなかっ
た!音楽の世界って作曲家、演奏家と言う表の職業の他に
もこうした裏方さんが居て成り立つ世界だったのですねぇ。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2006年12月23日 日比谷シネシャンテにて鑑賞)

「か」行で、はじまる映画の感想にもどる

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送