(傷)『クラッシュ』

クリスマス間近のロサンゼルスのハイウェイで交通事故に巻き込
まれた刑事のグラハム(ドン・チードルさま)は、偶然、事故現
場脇で若い黒人男性の死体を発見。その前日、自動車強盗と地方
検事のカップルが……白人警官コンビとテレビ・ディレクターで
ある黒人夫婦がそれぞれトラブルを巻き起こしていた……。

訳あって非常に短い紹介になりました。下手をするとこの下50
行位は粗筋紹介に費やさなくては為らない為、御容赦願います。
m(_)m
いやぁ……主要登場人物が、10人以上居てキャストの方も、
普通の白人さんに、ヒスパニック系の方、アジア系の方、アフリカ
系の方……と全人種を均等に割り振ったキャストになっているんで
観ていて途中で誰が誰だか判らない状態に突入していきます。

と……言えば、この映画の事を悪く書いているんでは無いかと思
われるでしょうが、群像劇としての纏まりには欠けるものの、混沌
とした中に幾つも素晴らしいエピソードが詰め込まれているんです
ね。だから非常に惜しいけれども、愛しい映画でもあります。

『クラッシュ』と言えば、デビッド・クロネンバーグ監督が96年
に撮った同名映画がありまして、あれも群像劇と言えばそうなんで
すけれど……同じ題名でテーマがこんなに違うケースも珍しい(^^;

まともに筋を追えないので、印象的なシーンを挙げていくと、勤続
17年のベテラン警官でありながら、実は人種差別主義者となって
しまったライアン巡査(マット・ディロンさま)が実に(・∀・)イイ!!
その相方であるハンセン巡査を演じているのが、ライアン・フィ
リップさまなんですが、この映画で一皮剥けた気がします。

イランからの移民でありながら、御隣の国イラク人と間違われる為
店が度々強盗に逢う雑貨店を営むファハド(ショーン・トーブさま)
とその娘のドリ(バハー・スーメク御嬢様)そして、鍵の取り付け
業者であるヒスパニック系のダニエル(マイケル・ペニャさま)と
のエピソードが実に印象的。ダニエルはマッチョな風貌と刺青が入
った外見の為、刑務所帰りとおもわれがちなんですが、実は良き
父親であり、銃撃戦が絶えない地区に住んでいる為、いつも怯える
娘ララの為に、弾丸を絶対通さないと言う「透明マント」を着せて
彼女を寝かしつけると言うエピソードが挿入されており、これが実
に(・∀・)イイ!! 話なんですよねぇ。ガキんちょが嫌いな自分にも鬼
の目にも涙で御座います。

この映画の題名の『クラッシュ』とは、映画の中で度々起きる交通
事故の事もそうなんですが、人と人が憎しみ合い、誤解を生み……
お互いに傷付けてあって生きていかねば為らない。でも、そんなに
人間と言うものは悪いだけの存在では無い。傷つけたり、痛みを感
じた時、誰かに手を差し伸べざるを得ない自分が居る……そうした、
相反する矛盾した、まるごとの人間と言う存在を不器用ながら描きだ
そうとしている製作者の誠意を感じた一本であります。

ただ……登場人物をもう少し絞り込んでくれたら、話の方もスムーズ
に運んだのになぁ……それが実に惜しい所でありますが。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2006年2月14日日比谷シャンテにて鑑賞)

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