(=)『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

1964年生まれの自分は、この世代にしては珍しく「ロック」と言うものの
洗礼を受けておりません。ですから、この『ヘドウィグ・アンド・アングリー
インチ』がロック・ミュージカルだと聞いていて一抹の不安もありました……。

が……観て大正解でした\(^0^)/\(^0^)/\(^0^)/\(^0^)/

ベルリンの壁が出来た時……大概の人々は、東から西に脱出したのですが、
この語り部ヘドウィグの母は、西から東に渡った少数派の一人。彼も元々は
少年だったのですが、ブラックの軍人さん(中々のハンサムさんなのよん)に
見初められ、「男にしては惜しいなぁ……」との要請により、国を出る際には
性転換をする……しかし、その手術は失敗し「怒りの1インチ」だけを残して
男性器が残ってしまう………この物語は、その「第三の性」のヘドウィグの
音楽と語り……そして舞ひによって綴られる小絵巻。

監督・主演・脚本と3役をこなした、ジョン・キャメロン・ミッチェルさまは
多分ゲイの方でしょう。ですが……それだけに留まらない広がりがあるんです。
ギリシャ哲学から発想を得た「愛の歌」。ルネサンスから現代ポップアート迄
を幅広く取り入れた「完璧」な室内装飾!!!!!!!
この映画を観ていて驚いたのが、一つとして同じ床、同じ天井を使っていない
ことなんです!誰も注意を払わない箇所にまで気を配る「美意識」の高さに
惚れ惚れしてしまいました。(*^^*)ポッ

そして、ヘドウィグの御顔には、毒々しく塗られた「化粧」は夜の蝶の如く、
旦那さまとの同衾のサテンは『グランド・オダリスク』の女官の足元の緞帳
の色!回想の中で語られる「愛しの君」の出合ひの御顔は『蜘蛛女のキス』
でのモリーナの如くの艶と透明感。

そして、求めては失い……捕えては逃がし……易の大極のように果てしなく
ぐるぐると陰陽が交差し互いに無いものを補い合う。そこに「彼=彼女」が
気が付いたとき成功は手中に入り……この映画は、サンダンス映画祭で脚光
を浴び、観客の私も深い愉悦を得たのでありました。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2001年10月29日 東京国際映画祭 特別招待作品 オーチャード・ホールにて鑑賞)

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