(戦)『キングダム・オブ・ヘブン』

妻に先立たれた鍛冶屋のバリアンは(オーランド・ブルームさま)は、ある
日、騎士ゴッドフリー(リーアム・ニーソンさま)の御訪問を受け、実は
親子関係であった衝撃の事実を知る。妻に先立たれ、妻の形見であるロザリ
オを神父に盗まれた事を知ったバリアンは、勢い余って神父を殺害してしま
う。その事から教会に追われる羽目になったバリアン。
だが……「エルサレムに行き「聖戦」に参加すれば、「贖罪」は約束されて
おりますぞ!」と、司教すら手を出せないローマ法王ウルバヌス2世からの
お達しがある♪
それに、当時の騎士団としては珍しく高潔な父が掲げた「キングダム・オブ
・ヘブン(天国の王国)」つまり、回教徒と基督教徒が共存出来る国の実現
と言う理想もあるので、バリアンは、父と共にエルサレムに向かおうとした
その矢先……司教からの刺客が送り込まれ、バリアンは無傷なれど、父は
重傷……命のある内にってことで騎士として伝承を受ける。
ところが一寸先は闇……船が難破し、命だけを取り留めたバリアンは、辿り
着いた先で馬を巡るトラブルに巻き込まれ、またしても人を殺めてしまう。
やがて着いたエルサレムに行ったバリアンでありましたが、ゴルゴタの丘に
行って妻を想うも魂の救済とは程遠く……父の遺した領土も荒れ果てて、
尚且つサラセン王のサラディン(ハッサン・マスードさま)は、エルサレム
奪還を狙っており、サラディンとつかの間の和平を実現した「らい王」こと
ボードワン4世(エドワード・ノートンさま)の後釜を狙って、テンプル
騎士団の団長であるルノー・シャティオン侯(ブレンダン・グリーソン)が
虎視眈々と狙っており、恐らくヨハネ騎士団(確証は持てず、推測)の
ティベリアス侯(ジェレミー・アイアンズさま)らが何とか病弱の王を守っ
ていた次第。
ボードワン4世は、病弱である自分の後釜に、妹であるシビラ(エヴァ・
グリーン御嬢様)をバリアンと結婚させようとするが、バリアンが屁理屈
をこねた為、破談に……ですが、これがエルサエム王国破局への引き金を
引く事になるのでありました……♪<史実とは違うんだけど(^^;

まず、ハッキリさせておきたいのは、史実ではシビルはバツ一の子持ち(爆)
そして、青年騎士であるギー・ド・リュジニャンにお熱を上げ、シビルの
前夫の子をボードワン5世として世襲させ、「摂政」として青年騎士リュジ
ニャンを渋々任命するのですが、何と彼とルノー・シャティオン侯が、エル
サレム王国の分裂を生んだと言う点です。上手いこと脚色して、感動大作
に仕上げています。もし……史実通りに描いたとしたら『エリザベス』すら
凌ぐ権謀術数の嵐状態♪(それはそれで観たいのですが……(^^;)

まあ……それはそれとして、シビラ王女ですね(エヴァ・グリーン御嬢様)
悪いけど魅力ゼロですわ……(--;)
演技が未熟なんで、何を考えているのかが判りずらいし、容姿もなぁ……
そんなに騒ぐものか?と言う感想。
基本的に「男」が主役なんで、まあ、女は刺身のツマ程度に……でも、ツマ
にしても、もう少しマトモなのが無かったんですかねぇ?
『グラディエーター』のホアキン姉のコリー・ニールセン御嬢様の方が、
キャラ立っていたぞ!

それを補って余りあるのが「男衆」でして、オーランド・ブルームさまも、
ロンゲでありましたが、不精髭のお陰でさほど気にならず、リーアム・ニー
ソンさまとジェレミー・アイアンズさまのお二人。このお二人が組むのは、
87年の『ミッション』以来なんですが、少なくともジェレミー・アイア
ンズさまに関して言えば、髭を生やすと男前数百倍アップ!(*^^*)ポッ

で……このジェレミー・アイアンズさま演じたティベリアス侯なんですが、
実は一番の「軍国主義者」なんです。映画を観ているとブレンダン・グリ
ーソンさま演じたルノー・シャティオン侯が「軍国主義者」に見えるでしょ?
ところが、軍事史的アプローチをすると逆なんです。
テンプル騎士団は「聖戦」を訴えて(実は私欲もあるんだけど、私欲だけ
だったらまだ救われる部類……一番厄介なのは「聖戦だから絶対に勝つ!」
何処かで見たフレーズではありませんか……今から70年前の日本の姿に。
「欲しがりません勝つまでは」とか「八紘一宇」ですかねぇ……「大東亜
共栄圏」でも何でも良いのですが……日本で言われている「軍国主義」は
「軍国主義の贋作」なんですねぇ。
戦って勝つ戦争はやるけれども、戦って負ける戦争には命を張ってでも反戦
運動を行う。これが「真の軍国主義」と言うもの。

話が「靖国参拝」に迄飛んで行きかねないのですが(個人的にはあんなもの
(靖○神社)焼けて滅んでしまえば(・∀・)イイ!! と願っておりますが……)
まあ、脱線はこの位にして、感心したのは回教徒に関しても、一定の理解
を示している点。これは評価すべきところでしょう。
エルサレムに行く港の経由地で、海岸でメッカの方角を向いて一日5回
の礼拝を捧げる信者。「一定の税金を払えばそれは認めている」と台詞に
ありましたが、これ……元々は回教の思想なんです。基督教圏でこれがあ
ったのか?史実だったかどうかは判りませんが、実際問題、回教徒が多い
地区では、折合いをつけて「良い所取り」であったのかも知れません。

サラディンがエルサレム引渡しの際に、その意義をバリアンから尋ねられ
「無だ」……「だが全てだ」と語るのは、物理的にはさほど意味の無い
場所であっても、「ユダヤ教」「基督教」に取っては唯一無二の聖地であ
り、更にその系譜を継ぐ「回教」にとっても「メッカ」に継ぐナンバー2
の「聖地」だからなんです。(因みにナンバー2は、もう一つあってメデ
ィナ)3つ合せて「三位一体」とは言わない(^^ゞ

この開城の場面でも……史実では「保釈金」を要求され、在る者は出国し
在る者は一定の「保釈金」を支払って居残ったのですが、映画でそこまで
描くと「感動大作」が汚れてしまうので、皆様全員内地へ引き揚げ♪<満州
まあ……満州国崩壊の時の様に、「関東軍だけ」が軍用列車に乗ってイソ
イソと避難していた事に比べたらズッとマシな結末になりました。

ここ迄書いてきて思うんですが、やたらとこの映画、70年前の日本の姿
と重なるんですよねぇ……歴史は繰り返すって事でしょうか。

(尚、この文章を書くに当ってはジョルジュ・タート著『十字軍』創元社
を参考にさせて頂きました)

初代「大河浪漫を愛する会」
2005年5月30日(ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

BGM:ナターシャ・アトラス『マリフナーシュ』

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