(宴)『マリー・アントワネット』

オーストリア皇女マリー(キルスティン・ダンスト御嬢様)は、
14歳にしてフランス王太子ルイ16世(ジェイソン・シュワ
ツマンさま)の元へ嫁ぐことになった。結婚生活に胸を膨らま
せていたが、待ち受けていたのは、上辺だけ取り繕ったベルサ
イユ宮殿の人々と、愛情のない夫婦生活。ルイは必要な事以外
はマリーと口もきかず、同じベッドに寝ていても、指一本触れ
ない。愛情深く育ったマリーだったが、悪意溢れる噂に傷つき、
やがて贅沢なドレスやパーティーに心の安らぎを求めるように
なっていった……。

世間一般では酷評の本作ですが、自分はこれ大好きですね。
何よりも「ロココの享楽」と「夜通し続いた宴のあとの時間」
をスクリーンに切り取っている事に成功しているんです。
この映画の良いところは、「教科書通りの事を描こうとは思
わなかった」と監督&脚本のソフィア・コッポラ御嬢様が語
っておりますが、誰も責めていないんですね。為るようにな
った。そして革命が起きても最後の最後迄は描かない。
そこに優しさが感じられるんですわ。
それにしてもベルサイユ宮殿を150日間掛けてロケしただ
けありまして出てくるのは溜息ばかり。幾つかスタジオに
作ったセットもあるんでしょうが、観ていてそれは気になりま
せんでした。

そして、この映画のもう一つ評価すべき点は、プチ・トリアノ
ンが彼女に取っては必要不可欠なアイテムだったと言う事を
描いている点です。後世の史家からは浪費&プチ・トリアノン
での逃避が批判の対象になっている模様ですが、少なくとも
この映画を観る限り、ベルサイユ宮殿は息が詰まりストレス
ばかりが溜まる「悪の巣窟」。舅であるルイ15世(リップ・
トーンさま)と「最後の寵姫」であったデュ・バリー夫人
(アーシア・アルジェント御嬢様!)が居て、居心地は決して
良くない上に旦那が寝てくれずに、母からは矢の催促……。
現在の日本の皇室を思わせてしまうような描写もあり、ドキリ
とさせられてしまいました。

意外にも良かったのが、ルイ16世を演じたジェイソン・シュ
ワツマンさまでして、夜の営みの問題を除けば問題が無さそう
な好青年を自然に演じているのが宜しい。そして主役のキルス
ティン・ダンスト御嬢様もしばらく観ない内に大化けをして、
世間知らずの少女から、幼妻……そして母親への変化を見事に
演じ分けているんですよねぇ。
最後の最後に散乱した寝室が映し出されて一つの時代が終わっ
たことを告げる演出も中々のものだと思いました。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2007年1月27日ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

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