(生)『嫌われ松子の一生』

東京で呑気な大学生活を送っていた川尻笙(瑛太さま)は、
突然故郷から父親(香川照之さま)の訪問を受け、三十年前
に失踪した伯母の松子(中谷美紀御嬢様)の存在と、その死
を知らされる。部屋の後始末を頼まれた笙は、松子の生涯を
調べはじめていくのだが、それは笙の想像を想像を絶する壮
絶な物語だった……。

教師として参加していた修学旅行中に万引き事件に巻き込
まれ、数々の不運が重なって教師を解職。その後、小説家
志望の恋人(宮藤官九郎さま)から受ける虐待の日々と
彼の自殺。その友人(劇団ひとりさま)との不倫と破局。
ソープ嬢になり店のナンバーワンになるが、ヒモの小野寺
(武田真治さま)を殺して刑務所入り。逃亡生活中に優しく
してくれた床屋の男(荒川良々さま)は8年後出所すると、
別の女と幸せな結婚生活を送っていた。やがて元教え子だっ
たヤクザ(伊勢谷友介さま)との生活が始まるが……意外な
形で破局を迎える……。

山田宗樹さまの同名小説を『下妻物語』の中島哲也監督が大
胆にデフォルメ……と紹介される事が多い本作ですが、実際
に観てみると意外な程に原作に忠実に、哀しみの部分はより
鮮明に、出会いと別れの場面はより細やかに描かれているの
には正直申しまして脱帽です。

原作を読んだのは今年の3月9日、二日遅れて3月11日に
感想をアップしておりますが、この原作、傑作であるとは思
いましたが、それは転落記と言う題材に付き纏う「重さ」を
極力排除した作りになっており、それが故に泣くことは一切
無く、読んで「面白い!」と思ったのでしたが、映像の効果
たるや怖ろしいものがありまして、主人公の笙が松子の住ん
でいたアパートを訪問する時点で滂沱の涙。
あの部屋の汚れ方。他人事とは思えませんでした……。何故
そんな部屋になってしまったのかが最後に明らかになるので
ありますが、事前に知ってしまっているだけにうるっと来て
しまうんですよねぇ。

更に感心したのは、恋人である明日香(柴崎コウ御嬢様)を
最初から事件に絡ませていない点なんですよねぇ。これによ
って刑事と父……そして笙の3人で調査が進んでいく展開と
なって大幅にスピードアップされております。映画版で注目
されるのが随所で挿入されるミュージカル・シーンなのです
けれども、実にこれが効果的に活かされており、とりわけ、
松子の幼少時代・父の恒三(柄本明さま)との百貨店の上で
のシーンは涙無くしては観られません。

まだ一回目の鑑賞の為、全体を俯瞰しての感想と迄は行きま
せんが、和製ミュージカル映画(?)としては、99年の
『ナビィの恋』以来の大傑作が誕生しました\(^o^)/

今回発見したのは、武田真治さまって脱ぐとかなり凄い身体
なのねん(*^^*)ポッ
パンフレットも700円の割には、内容超充実の素晴らしさ。
再見の折に読み直す事に致しましょう。

今年はホントに豊作ですが、その中でもベスト1候補として
本作品を推薦させて頂きます。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2006年5月29日 TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて鑑賞)

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