(食)『レミーのおいしいレストラン』

すぐれた鼻と舌を持つネズミのレミーは、一流シェフになる
のが夢。ひょんなことからパリにたどり着いた彼は、今は亡
き名シェフ・グストーの幽霊に出会い、彼のものだったレス
トランへ導かれる。そこで料理の才能ゼロの見習いシェフ・
リングイニが、店の大事なスープを台なしにしてしまうのを
見たレミーは、思わず味を整えに走る。レミーの才能を知っ
たリングイニは、二人でパリ一番のシェフを目指すのだが……。

アニメ映画の「グローバルスタンダード」を目指すピクサー
が放った傑作アニメーション。夢を決して諦めないで努力
すれば必ず報われるとか……勧善懲悪の物語であったり、
またこの映画で最も訴えたかったであろうメッセージ。自分
にも他人に対しても誠実である事。と……世界中の人が観て
も頷けるメッセージがあって、それが故に愛されているので
ありますが、今回ちょっとだけ違うのは、料理店でタブーと
されているネズミに調理をさせて仕舞っている点。これが
今回の映画での賛否を分ける最大の鍵を握っていると思われ
ます。

それをクリアーすれば、後は練りに練られた脚本の技巧に
唸り、魔術的な迄のカメラワークに酔う事請け合いで御座
います。調理室、客席を動き回るワゴンに乗ったネズミの
レミーの視点でカメラが動くのですが、何とも滑らかな動
きな事。

そして、今回最高に唸ったのは、グストーの店を衰退に追
い遣った「死神」こと料理評論家のイゴーのキャラクター
造型の深さで御座います。単なる嫌われキャラに見せかけ
ながら、「究極の一皿」を出された時に、彼が何故この道
を志したのか?!それを一枚の「画」として表現している
様は、まるでフェルメールの一枚を見ているかの様な表現
力!それと共にかつての純粋な「想い」を思い起こさせて
いる……これは言葉が幾つ有っても言い足りない程です。
そして、そのかれが最後の最後迄「顧客」であり続けた
事が、見終えた後、後味の良さを残すのでありましょう。
それに比べて、かつてのナンバー2であり、現在のシェフ
であるスキナーの悪役としての薄っぺらさがちょっと残念
に感じるところであります。
とは申しましても、生理的にネズミが受け付けられない方
以外にはお薦めできる逸品ですし、配給が広範囲に及んで
おりメジャー系夏休み映画としてはベストと言えるでしょう。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2007年7月27日ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

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