(書)『主人公は僕だった』

国税局に勤めるハロルド・クリック(ウィル・フェレルさま)
は、毎朝同じ時間に目覚め、同じ回数歯を磨き、同じ歩数で
バス停まで行き、会計検査官の仕事をこなして、毎晩同じ時
間に眠る。そんな几帳面すぎる毎日を送っていたハロルドに、
ある朝、突然、彼の行動を正確に描写する女性のナレーショ
ンが聞こえてくる。声の主は、悲劇作家カレン・アイフル
(エマ・トンプソン姐さん)。
10年の沈黙を破る最高傑作の完成を目の前にした彼女が、
ラストでいかにして死なせようかを悩んでいる主人公こそ、
ハロルドだったのだ。何とか自分の物語を喜劇にしようと
生活を変え始めるハロルド。街角でパン屋を営む女性アナ・
パスカル(マギー・ギンレイホール御嬢様)に恋をしたり、
子供の頃の夢だったギターを弾いたり、愛すべき姿に変わり
ゆくこの人生を、ハロルドは守ることができるのか?

このレビューを書くのは、映画を観てから一週間後になり
ます。書くのが遅れたのは、公私共々多忙だったり、心配事
が山済みで書く気に為らなかったことも大きいのですが、
それより何より、この映画そのものが余り面白く無かった
からなんです。

いきなり結論を先に出してしまいましたが、何故詰まらない
かと言えば、短編小説で収まるネタを無理矢理長編映画に仕
立てようとしているからなんですわ。主人公であるハロルド
が謎の声を聞き、それが寸分違わぬものだと知り愕然として
から声の主が閨秀作家カレン・アイフルのものだと知る迄の
プロセスが長すぎるんですね。もっとも、これを先に出して
しまうと物語はアッと言う間に終わってしまうので、あれや
これやと数々のエピソードを入れて物語を膨らまそうとはし
ているんですが、正直言って成功しているとは思えないんです。
それでも何とか退屈せずに観れてこれたのは、一見繊細そう
には見えないヒロインのアナ・パスカル御嬢様が実は聡明で
デリケートな感性の持ち主であると言う彼女のキャラ立ちに
よる所が大きいのです。

彼女が居なかったら、この映画を観て罵詈雑言モードで終わ
っていたんでしょうが、それだと執筆の時期が早まって良か
ったのかもしれません。何事も塩梅が大切であると思った
次第です。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2007年5月27日ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

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