(想)『ナイロビの蜂』

アフリカの太陽のように情熱的な若妻テッサ(レイチェル・ワイ
ズ御嬢様)と、イギリスの庭園のように秩序正しい外交官の夫
ジャスティン(レイフ・ファインズさま)。全く違う性格だから
こそ惹かれあった2人は、夫の駐在先のナイロビで暮らしてい
た。しかし、ある日突然、妻テッサの死の知らせが届く。警察は
よくある殺人事件と断定し処理しようとするが、疑念にかられた
ジャスティンは、妻の死の真相を独自に調べ始める。そして、
アフリカで横行する薬物実験、官僚と大手製薬会社との癒着。
彼女が生前暴こうとしていた世界的陰謀を知る。命の危険にさら
されながら、テッサの想いを引き継ぐジャスティン……そして
彼が「地の果て」で見出した「真実」とは……。

まずお話ししておかなくては為らないのですが、ジョン・ル・カ
レ御大の原作は未読です。と……言うよりも、「晦渋」と言う意
味からすれば、世界のエンターティメント作家の中でも優にベス
ト10入りする位難解なんですよ。実は……。
まともに読めたのは処女作である『寒い国から帰ってきたスパイ』
だけでして、読みやすいと仲間内で評判だった『リトル・ドラマ
ー・ガール』も50頁行かない内に挫折。
2段組の一頁の中に登場人物が10人以上出てくると言えば想像
はして頂けますでしょうか?(^^;

その意味で、この映画がアカデミー脚色賞にノミネートされたの
は、当然と言えば当然でして、観ていて判るんですね(笑)
これは、多分活字では味わえなかっただろうかなぁ……と思った
りしました。

脚色を務められたジェフリー・ケインさま、そして今回秀逸だと
思ったのは撮影もそうなんですが、クレア・シンプソンさまが務
められた編集技法。ジャスティンが生み出す「意識の流れ」を巧
みにフィルムから切り出す事に成功しております。驚愕のデビュ
ー作『シティ・オブ・ゴッド』にて超絶技巧を駆使したフェルナ
ンド・メイレレス監督のパワー溢れる演出も健在。

この映画の魅力は、「亡き妻への思慕」と「製薬会社が仕組んだ
陰謀」と一見相反する素材が乖離する事無く、一つに解け合って
いるんです。亡き妻を思って魂の旅が始まる……と言えば文藝映
画のノリになるんですが、そこに製薬会社の思惑、『ホテル・ル
ワンダ』でも示唆されていた「アフリカ大陸」とそこに住む住人
への無関心さ、国連の限界等様々な要因を含んでおり、これだけ
の情報量を次ぎ込んで、良く2時間10分と言う時間に収めた
たなぁ……と感心するばかり。

そして、「苦くて甘美」なラストシーン。これがあるんで映画の
格自体がもう1ランクアップしたと言うべきでしょうか?
観ながらどうやって結末を付けるんだろうか?と変な心配をして
いたんですが、実に見事な幕の引き方でした。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2006年5月13日 ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

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