(穴)『ザ・インタープリター』

舞台は、ニューヨークにある国連本部。アフリカのマトボ共和図で生まれ、
やがて世界を転々とした末、その語学力を買われて国連通訳となったシル
ヴィア(ニコール・キッドマン御嬢様)が、忘れていた荷物を取りに通訳
ブースに入ったところ、誰も居ない筈の議場で、マトボ共和国の元首である
ズワーニ大統領の暗殺計画を耳にしてしまう。ズワーニ大統領は、「人道に
対する罪」の疑惑を払拭する為、国連本部で演説を行う予定になっていた
のだった。確かにズワーニ大統領の存在は、シルヴィアに取って目の上の
瘤。死んで欲しい相手であったが、国連本部職員と言う立場上通報を行った。
しかし……それ以来、彼女の生活は一変した。殺し屋たちのターゲットに
なり、同時にシークレット・サービスの疑惑の対象になった。
彼女の警護担当のシークレット・サービスの捜査官ケラー(ショーン・ペン
さま)は、彼女の過去を探るうちに彼女自身が陰謀に関わっているのではな
いかとの疑いを深めていくのでありましたが……。

映画本編は大変に面白く観る事が出来ました。まず、国連本部のロケ許可を
貰った事を含め大変にスケール感がある映像が出来上がっている点。
国連本部を上空から空撮したのは、はじめて御目に掛かりましたし、国連内
部の見学者コースを含め色々な所を見れたのも貴重。
そして、主演の二人が何を考えているのかが読めない曲者であるところが、
この映画の見所でして、『コントロール』のレイ・リオッタさまとウィリア
ム・デフォーさまとの掛け合いと良い勝負かも知れない。これはキャスティ
ングの妙。ニコール・キッドマン御嬢様は、能面がスーツを着て歩いている
様なものですし、ショーン・ペンさまも冒頭から「手を抜いていないぞ」と
言わんばかりの気迫十分の役どころ。
そして、それを取り巻く群像もまたまた腹が読めない人ばかり!!!!

サスペンスとしても優秀な出来栄えですし、クライマックスは二段構えで
十分に盛り上げてくれるのもまた良い。

ですが……この映画には、とんでも無い落とし穴があったのです。それは…

物件「100」【企画段階での設定ミス】でして……この謎を解くには、3
人の「匠」の力が必要となるのでありました。
『ボビー・フィシャーを探して』、『シビル・アクション』の脚本家ステ
ィーヴン・ザイリアン様、『フライト・オブ・フェニックス』や『愛と死の
間で』のスコット・フランク様、『ライフ・オブ・デビッド・ゲイル』の
チャールズ・ランドルフ様と言う錚々たる面々が「共同脚本」としてクレ
ジットされているのですが……これ、どー考えても「補修工事」で雇われた
としか考えられないんです。

そもそも「何でワザワザ国連本部の議場で暗殺計画の話をしていたのか?」
「その言語が8人しか聞いても意味が判らないような”クー語”で密談し
(まあ、これは判る)でも……最大の問題は、何でその言葉を理解する通訳
である彼女が聞いていたのか?」

この二つの大欠陥を埋める為に、3人の匠が頑張る!(笑)監督であるシド
ニー・ポラックさまも演出のみならず、ケラー捜査官の上司役で出演し、
必死のフォロー体制で頑張る。穴があることを承知で主演を引き受けた二人
の主役も脇の面子も頑張る!

普通これだけの穴があったら、気が付いて興醒めしてしまうところですが、
皆様の頑張りで観ている間は穴に気が付かなかった!これは驚嘆すべき出来
事と言っても間違いでは無いでしょう。

映画そのものも確かに面白いのですが……3人の脚本家の愚痴を鼎談で聞い
て見たいものです。それがDVDで付録で付いてきたらDVDを買うかも
知れません。こんな致命的な設定でありながら、最初に企画を上げた人間。
それが戦犯であることは間違いないでしょう……。

「裁判映画友の会」大倉 里司
(2005年5月26日 ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

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