(夢)『世界最速のインディアン』

ニュージーランド南部の小さな町、インバカーギルにとんで
もない老人が住んでいた。彼の名はバート・マンロー(アン
ソニー・ホプキンス御大)。家族もなく、暮らしも貧しかっ
たが、若い頃は優秀なエンジニアだった彼は、自ら改良した
バイクで、数々の国内記録を残していた。爆音の苦情はある
が、温かい人柄から町の人々に慕われてた。バートの夢は、
米国ユタ州にある塩湖ボンヌヴィルの大会で世界記録に挑戦
すること。苦心して改良したマシン「インディアン」号と
地元の人々からの餞別を手に、新天地アメリカへと旅立って
行く事になるロード・ムービー。

これが実話だと知って驚きました。1968年に68歳
で1000cc以下の部門で世界最速記録を達成した伝説の
ライダーだったそうですが、現在もその記録は破られてい
ないとの事。監督のロジャー・ドナルドソンさまは、71年
に生前の彼に取材をしてドキュメンタリー映画を製作した
そうですが、それから30年以上の月日を経て再度映画化
させた執念も凄い。

自分はマシンにもバイクにも興味も関心も無い人間であり
ますが、それでも観ている間は嬉しくて頬が緩み、大会の
シーンでは身を乗り出してしまう程の興奮をこの映画は与
えてくれます。

しかも時代背景が現代では無く、ベトナム戦争真っ最中の
アメリカ横断。休暇を取ってユタ州に戻った兵士を初め、
旅先で出会う人々の姿が、エドワード・ホッパーの絵から
抜き出てきたような市井の人々で、肩肘張ることなく「時代」
を感じさせてくれるところが実に(・∀・)イイ!!

それにしても、ロジャー・ドナルドソン監督は何時の間にか
こんなに演出が木目細やかになったのでしょうか。冒頭のシ
ーンから「そういえばこの光景、少年時代に見た気がする」
と何だか懐かしい匂いに溢れているんですよねぇ。

百の言葉を使って語るよりも、一度観て頂くしか無い珠玉の
出来栄え。映画館で音速を体感して下さい。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2007年2月9日ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

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