(眠)『ヴェラ・ドレイク』

1950年の英国。ヴェラ・ドレイク(イメルダ・スタウントンさま)は、労働者階
級の人々が暮らす界隈で、愛する夫のスタン(フィル・デイヴィスさま)と息子のシド
(ダニエル・メイズさま)、娘のエセル(アレックス・ケリー御嬢様)に囲まれて、毎日
貧しいながらも真摯に生きていた。病気で動けない近所の人たちを訪ねては甲斐甲斐
しく世話を焼き、家族団攣の時間を大切にし、いつも笑顔を絶やさないヴェラの心
は、夫が自慢するように輝いていた。しかし、そんなヴェラにも、誰にも言えない秘
密があった……。

うーーん。正直に申しましょう。睡魔に襲われた事数回。マイク・リー作品は、『秘
密と嘘』とか『キャリア・ガールズ』は観ていて、かなり面白く鑑賞出来た筈なので
すが、画面が地味な上に登場人物もどこにでも居そうな市井の方ばかり。それでも
面白く観れる時は観れるんです。ところが……今回はシンドかった。(涙)

誰にも言えない秘密とは、「人工中絶」で御座いまして、現在でもこうした形での
中絶が合法化になっている国は無いんでは無いでしょうか?この当時では人工中絶
手術は「妊娠出産が母体の命を脅かす危険があると医師が診断した場合のみ合法」と
なっており、しかも手術料が高額だった……と、今知った次第で御座いますが、
映画の中には一切そういった説明が無いんです。まあ、これは人工中絶の是非を問う
映画では無いのは百も承知でありますが、何らかの形で最低限の情報は入れておいて
欲しいもの。(--;)

そうした事件に巻き込まれて家族の形態がどう変わって行くのか?を例のタッチで
描き出しているんですが……暴言を承知の上で書かせて頂くならば、テーマそのもの
が大きすぎた気がするんです。一応、家族内でも「賛成派」と「反対派」に分かれて
いるんですが、映画として見せるならば一番面白くなりそうな相克をアッサリと処理
して「家族の絆が一番」と決め付けてしまう感じを受けて仕舞ったのですねぇ。
まあ……実際問題、長年連れ添った身内が……となればなんでしょうが、通り一遍の
描き方の枠を一歩も出て居ない気がしたのです。ですから、何と裁判シーンですら時
折睡魔に襲われる瞬間もあり、正直申して苦痛以外の何者でもありませんでした。

「裁判映画友の会 広報担当」大倉 里司
(2005年7月13日 銀座テアトルシネマにて苦行)

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