(舞)『カーテンコール』

『ベント』で名高い劇作家マーティン・シャーマン様が、はじめて映画用に書
き下ろした脚本をナンシー・メックラー監督が端正な演出で一級の映画に仕立
て上げました。

1995年ロンドン、バレエダンサーのトニオ(ジェイソン・フレミング様)
は、数年前に恋人をエイズで亡くし、恋人と言うよりも「師」であり、親友で
あったラモンは現在病床に着いている。そして自分の体にも、発病の兆しが出
ていた。ラモンの葬儀の席、トニオは、見ず知らずの男に挨拶をされ、気に留
めない侭数日が過ぎていった……バレエの公演の夜、憂さ晴らしに繰り出した
ゲイ・クラブにてトニオは、その見ず知らずの男であったジャック(アンソニー
・シャー様(*^_^*)(ポッ))に声を掛けられ、次第に惹かれ合う様になって行く。
ジャックは、HIVポジティヴのカウンセラーだったが、愛してしまったものは
どうしようも無い……一方、ラモン亡き後、バレエ団に徐々に崩壊の兆しが見え
はじめていた。代表であるルナはアルツハイマー病の症状が出ていたし、ラモン
と言うスターを失ったことで先が見えない状況。最後の公演としてルナが出した
企画が、ラモンの当たり役だった「インディアン・サマー」と言うゲイの為の舞
踏だった……ルナは、ラモンの後釜としてトニオを指名するが……数々の障害が
待ちうけているのであった。

冒頭から「端正な映画」だと判りますね。バレエの稽古場のシーンから始まるの
ですが、ピシリ、ピシリと画面を切り取るところで力量が判り安心して観ていら
れます。

ジェイソン・フレミング様も、神経質そうでいてタフなバレエダンサーを的確に
演じておりますし、吹き替え無しで演じていた為ダンサーの筋肉の付き方をして
おります。欲しくはないけど観ていて奇麗なんですね。

そして、ジャックを演じたアンソニー・シャー様(*^_^*)(ポッ)彼が良いんです。
理想の小熊さん体型(かなりSG入っています)トニオとのベッドシーンなん
てもろ出しのポルノ・ビデオの濡れ場なんかより、お互いの愛情が画面から伝わ
ってくるので興奮しまくり。テント張りまくりの夜露状態なんですねぇ。

ふとした仕種に見せる寂しさとか、無理して誤魔化す健気さとか……どちらが
HIVポジティヴなのか判らない程(笑)そうなんですよね……自分が死ぬも
の怖いけど、愛していた相手が死んでゆくのに何も出来ない辛さって分かりま
すもの。(シミジミ)

一番辛かったのが、ジャックとトニオがギリシャ旅行に行くのですが、神殿の
前でジャックが言う言葉。

「君が健康体だったならば、ぼくなんかに目もくれなかっただろう。君は肉体美
と言うものを嫌っているから、ぼくだったら関係無いし、ダンサーじゃないから
安心できるのさ」

肉体的に結びついても、精神医学を修めようともやはり埋め切れないものがあっ
て、ジャックは酒に溺れていくのですが、そうするとトニオだって辛い。段々と
お互いが相手を本当に必要としていく過程、そして喧嘩もするけど愛していると
いう心境が、「インディアン・サマー」と言う舞台に結実してゆくプロセスは観
ていて唸りました。

ラストも爽やかに〆てくれますし、御二人に幸多かれと願うばかりです。\(^0^)/

BGM:J・S・バッハ『ブランデンブルグ協奏曲第5番』

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2000年1月20日ビデオにて鑑賞)

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