(滓)『オール・アバウト・マイ・マザー』

皆様、御機嫌如何でせうか?マダム・DEEPで御座ひます。

予めお断わりして置かなくては為らなひのでせうが、以下の文は、西班牙映画
『オール・アバウト・マイ・マザー』に対しまして憤怒の限りをぶつけたもの
でせう。よつて、お好きな方が気分を害されなひやうに、ここで御引取り頂く
ことを願ふものでせう。

マドリッドに御在住のマヌエラ様(セシリア・ロス御嬢様)は臓器移植コオデイ
ネヱタアで御座ひまして、女手一つで御子息のエステバン様を育ててゐたのでせ
う(なみだ)。エステバン様の壱拾七歳の御生誕日祝賀に、大女優でゐらつしゃ
るウマ・ロッホ様(マリサ・パレデス様)主演の『欲望と云ふ名の電車』を観劇
することにしたのでせうが、その帰りウマ・ロッホ様のサインを貰おふとした
エステバン様は、車に轢かれて事故死。たった一人の肉親である息子を失つた
マヌエラ様は、エステバン様が顔も知らない父親の消息を尋ねてバルセロナへ
向かふ。そこで性転換して女御になつたアングラート様(アントニア・サン・
ファン御嬢様)、身重の修道女シスター・ロサ様(ペネロペ・クルス御嬢様)、
そしてバルセロナの地で『欲望と云ふ名の電車』を上演してゐたウマ・ロッホ様
に出逢ふ………。







(噴火致しますわよ……覚悟は宜しひでせうか?)









「この映画を観て何とも感じない人は、心臓専門医に診てもらうべき」と米国の
有力誌『タイム』がさふ評されてゐたさうですが、確かに感じるところは御座ひ
ましたわ。この映画が単にアルモドヴァル様の残り滓で御座ひまして、わたくし
に執りまして観るべきところは殆ど無く、高ひ技法を用ひながらも観客に媚びた
その根性に強ひ怒りを感じてゐるのでせう。(きつぱり)

先ず、マヌエラ様が「臓器移植コオデネイタア」と云ふ職業なのか、これは欧州
で物議を醸してゐる臓器移植と脳死の問題を取り扱つてゐるもので御座ひませう
が、この処理の仕方が、何とももはや(呆)何の為に御子息の心臓を移植された
御方の御姿を見る為に……さう思つて仕舞ひましたの。見方によつては、「命の
贈与」とやう崇高さうなテエマを呈示してゐるかのやうに見せ掛けながらも、わ
たくしに執りましては、腐臭紛々漂ふ偽善の匂ひがするだけなのでせう!(きつぱり)

そして、殿御から女御に為られたアングラート様の処理は、まあ、判るのでせうし、
これはアルモドヴァル様の壱拾八番。そして彼女がシャネル志向なのも『ハイヒー
ル』でも垣間見せた御趣味が全開で宜しひのでせうが……問題は、エステバン様の
御父上迄もが女御に変身し、それだけでは無く僅か四ヶ月前に修道女シスター・
ロサ様と出会ひ「おしげり」をしてゐたことでせう。(呆)

もはや、ここまで来るとテエマの為だけに物語を進行させてゐる「賞狙ひ」をして
薄ら笑ひをしてゐるアルモドヴァル様の御姿しか見へませんのよ……。しかも、
御丁寧にその御子様がエイズに感染してゐるが、克服してゐると云ふ無茶な設定……。
こふまで畳掛けられますと怒りを通り越して、ただ欠伸が出るだけなのでせう。(失笑)

まあ……この映画が御好きな方は、沢山居られるでせうが、わたくしに執りまして
は残り滓しか無かつた夢の島でせうか……新木場も寂れましたわねぇ(しみじみ)

「裏社交界の徒花」 マダム・DEEP
(2000年6月7日 銀座テアトルシネマにて鑑賞)

BGM:Tori Amos『Spark』

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