(実)『抵抗〜死刑囚の手記より』

恥ずかしながら、ブレッソンの映画を観るのが、これが初めて。(^^;;

この回も、平日の昼間だと言うのにほぼ満員の入り………根強いファンの方は
いるものだ………と感心致しましたが、映画の方もやはり力作と言う言葉が似
つかわしい作品でした。

1942年のナチスの傀儡政権下にあったフランスのリヨン………その町にあ
るモンリュック収容所では、1万人が投獄され、内7千人が死んだとのクレジ
ットが示される。

その収容所に投獄されたフォンテーヌ中尉(フランソワ・ルテリエ様)は脱走
を試みて、何度も失敗しているレジスタンスの闘士。

彼が脱獄をするまでの、言わば密室劇なのですが、画面が異常に「濃い」のに
は驚きました。

連行されるときの手のアップとか、収容所内でスプーンを手に入れ、それに磨
きを掛けノミ替わりに使うところなど………今の時点で観ても見劣りがしない
場面ばかり。

文芸映画と言うよりも、実用映画と言う感じがしたのですね。

ベッドの針金を一本一本引き延ばし、それを芯にして布で包んでゆきロープに
仕上げる技法は、眼から鱗が落ちたかの様な新鮮さがありました。

実話を元にしているだけありまして、ディテールへのこだわりぶりは大変なも
ので、その積み重ねによりサスペンスを盛り上げることに成功しております。

で………肝心の脱獄決行シーンは、今観ると………う〜むと言う感じで淡々と
進んでいくのですが、これを観にきていた一人の老婦人が、こうロビーで申し
て居られました。

「30年ぶりに観るけれども………ドキドキして心臓に悪いわ。解っていても、
どうなるか?って思ってしまうのよ」

この映画は、貴女のような方の為にある映画です。映画そのものよりも、この
一言に深い感銘を受けました。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(11月2日第12回東京国際映画祭シネマプリズムにて鑑賞

BGM:W・A・モーツアルト『レクイエム』

「ら」行で、はじまる映画の感想に戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送