(迷)『理想の結婚』

皆様、御機嫌如何でせうか?わたくし、マダム・DEEPで御座ひます。
この席へと登場するのも、去年の『娼婦ベロニカ』以来のことで御座ひまして、
椅子には苔が生えているかも……ほほほ。

時は、ヴィクトリア朝華やかしき、1895年の倫敦社交界。誰もが羨む理想
の御夫婦、政治家の夫ロバート(ジェレミー・ノーザム様)と美しく聡明では
御座ひますが、やや融通が利かなひ奥方ガートルード(ケイト・ブランシェッ
ト御嬢様)はこの世の春を謳歌しておりましたが、実は隠された過去が御座ひ
まして、マダム・チーヴリー様(ジュリアン・ムーア御嬢様)によって旦那様
のロバート様が脅かされておりましたの……一方、ダンディな殿方独身貴族ア
ーサー・ゴーリング卿(ルパート・エヴェレット様)は引く手あまたの遊び人。
そふした御姿に心ときめかせたのが、わたくしに執りましては疎ましひ女御メ
イベル様(ミニー・ドライヴァー御嬢様)で御座ひました。

何でも、マダム・チーヴリー様とガードルード様とは、女学校時代から犬猿の
仲だとか……マダム・チーヴリー様が、ガードルード様を御嫌ひに為る理由が
段々と判つて参りましたのよ……余りに常識的な堅物とマダムが思つたかも知
れませんわねぇ……(毒)

とは言へ、わたくしも最初はマダム・チーヴリー様のことが嫌ひでしたのよ……
策謀好きなのは歓迎でせうが、個人的な利害……財産の問題を絡ませるのは宜し
くありませんことよ……(きつぱり)

ですが、狂言廻しを御務めに為られたゴーリング卿に因りまして、マダムのもふ
一つの顔が見へ、わたくしは大変に好ましく思ひましたの。それは、マダム・チ
ーヴリー様が「愛情を素直に表現することが出来なひ」女御であると判つたから
でせう。

世間にどふ思われやうが、自分のプライドを守り通そふとして、ゴーリング卿に
あのやうな形で迫るしか無かつたとやうのは、いじらしくてつひ涙が出てしまつ
たのでせう。

何故、凡庸なメイベル嬢を選んで、マダム・チーブリー様を棄てたのか?
ゴーリング卿も中々の殿御とは存じますが、わたくしとしましては是非マダム・
チーヴリー様との縁談を進めて欲しかつたのでせう(きつぱり)

失礼致しましたわ……つひ、かうした事柄ですと熱く為りまして。

この映画の最大の見所はと申せば、ヴィクトリア朝の文化を其の侭フィルムに焼
き付けたところでせう。劇中劇でオスカー・ワイルド様が出てくるのも御愛敬で
せうし、ラファエロ前派の絵画がどの様にして描かれたのか?当時のジャポニズ
ムを含んだ装飾品の数々。「毒」に彩られた会話の綾。そして……室内にさり気
なく示された「伊万里の大壷」(うつとり)
さうした事柄を観るだけで十分に目の保養と為りますわ……。(につこり)

最後に申しておきますが、この映画の真の主役は、ゴーリング卿を演じたルパー
ト・エヴェレット様とマダム・チーヴリー様を演じたジュリアン・ムーア御嬢様
ですことよ(きつぱり)

「裏社交界の徒花」 マダム・DEEP
(2000年2月20日ル・シネマ1にて鑑賞)

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