(渦)『阿波DANCE』

ヒップホップが大好きな高校3年生の茜(榮倉奈々御嬢様)は、
両親が離婚した為、東京から徳島の高校に転校する。そこは、
レンコン畑が広がるのんびりした田舎。東京とは別世界の土地
に馴染めず、母親にも反発していた。ある日、ダンス部がある
と知って、部室を訪ねると、それは阿波踊りに青春をかけるコ
ージ(勝地涼さま)が作った阿波踊り部だった。がっかりする
茜に、部員のユッキー(北条隆博さま)は、阿波踊りとヒップ
ホップを合わせた新しいダンスを考えようと提案するのだが……。

正直言ってこの映画、自分の廻りでは評判が今イチですが、火
中の栗を拾う覚悟で、敢えてこの映画の擁護をしたいと考えて
おります。まず多くの方から指摘を受けそうなのが、ダンス映
画としてどうよ……と言うことなのですが、これに関しては、
残念ながら弁護の余地がありません。茜のダンスシーンは、吹
き替えでも何でも良かったから「カリスマ」性を意識させるもの
で無いと何ですよ……。舞ひに関して唯一良かったのは、コージ
の父を演じた高橋克実さまでして、観ていて納得感がありました。

いきなり弱気な書き出しになってしまいましたが、青春映画とし
て観るならば、オードソックスな作りながらも手堅く作ってある
感じが伝わってきて好感が持てました。まず、導入部のテンポが
良いのです。東京のダンスコンクールで優勝した喜びもつかの間、
母親の都合で徳島に里帰りしてしまう迄5分も掛かっていないの
です。

そこで出会ってしまった地元命のコージと言う暑苦しいキャラク
ターとクールに斜に構えた茜、そしてその中間地点にいるユッキ
ーと言う三角関係の対立軸、交差軸、融和軸が有機的に絡み合っ
て太平洋と瀬戸内海がぶつかって出来る鳴門のうず潮のような
構図を齎しているんですよ。

このうず潮と共に映画の重要なテーマの一つが、「阿呆になれ」
と言うことでして、何にも難しい事は考えずに楽しくやりなされ
なんですが、これが実際に行うとなると難しいだけに、こう映画
の中だけでもやられてしまうとスカッとした爽快感がありました。
何にも考えずにただ踊る……それが原点であり、この映画が示し
ている「自分にとって本当にやりたい事は何ですか?」と言う青
春映画の王道を感じ取る事が出来て自分としては満足しておりま
す。

キャストとしては、茜の母を演じた高樹沙耶姐さんとコージの父
親であり阿波踊りの名手を演じた高橋克実さまが光っております。
ちょっと残念なのは、阿波踊り部4人の内、2人にのみスポット
ライトが当たってしまって、残り2人のキャラクターの掘り込み
が足りなくなってしまったのは残念なところであります。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2007年8月26日ワーナーマイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

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