(命)『終身犯』

原題が『Birdman of Alcatraz』となっておりますが……実に痛い題名です。

と言うのは……これは実話でして……或る一人の男が「反権力的」思想を持っ
て居るが為に「仮釈放」にならないと言う主張を持った映画なのです

物語のほうを、ごく簡単に説明しますと……アラスカにて娼婦を巡って一人の
男を殺してしまったロバート・ストラウト(バート・ランカスター)が、その
罪故に、レヴンワース刑務所にて懲役9年の刑を受ける……。
でも、何故『終身犯』なの……と思ってしまいました。その謎は……アラスカ
から母親が面会に来たのですが、「土曜日」故に規則上会えなかった……。
その為……看守と口論になり……実に「あっさり」と看守を殺してしまう。

審理を受け……死刑が決定……しかしながら母親の尽力によりウィルソン大統領
夫人にまで願は届き……死刑は取り下げられる。しかしながらも、司法長官の命
により、完全隔離の独房に入れられてしまうのですが……運動場で出会った雀の
雛が彼の運命を大きく変えることになる……。

正直言って、ぼくは彼が嫌いでした……そしてその母も……この母にして、こ
の息子ありだなぁ……と思っていたのですが、実はそれが伏線だったのですね。

やがて……今迄治療不可と見做されていた、カナリアの敗血症の治療法を見つ
けたことにより、ひとりの女性が彼のところにやってくる……彼女の名はステラ
・ジョンソン。

この女性……愛する小鳥……そして看守……と彼を取り巻く環境の変化に伴い
彼の心境に段々と変化が訪れるのです。このストラウトの心境の変化を実に見事
に演じ切っております。バート・ランカスターの場合、この作品は61年度製作
でしたから、最初の設定の年齢が一番近い筈……骨太で逞しい30代の男性でし
ょうか……それが……上手い具合に枯れてくる60代迄違和感が感じられ無いの
です。

この映画の主張ですが……「反権力性」を除けば、実に近年の名作である『ショ
ーシャンクの空に』迄通じる普遍的なテーマである、
「人間から尊厳を奪うことは如何に悪いことか?」
を描きだしております。

甘いと言われるのは先刻承知の上ですが……ぼくは、人間と言う存在の中にある
「善と悪の葛藤」を信じていたいのです。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司(HCD05016@nifty.ne.jp)
(5月27日 ビデオにて鑑賞)

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