(指)『ブリスター』

経済法則の大原則として、需要と供給のバランスがあるんですが、これは一般
市場のみならず、コレクターの世界にも通用するもの。人気があって品数が少
なければ、当然値段は高くなるし、その逆でも……極端に人気が無くても安い
もの。

この『ブリスター』と言う映画は、そうした「経済法則」をも絡め、世界に一
つしかない「ヘルバンカー」と言う幻のフィギアを巡っての喜悲劇。

熱烈なアクションフィギュアのコレクターのユウジ(伊藤英明様)は「ヘルバン
カー」と言う世界に数える程しかない幻のフィギアを探しておりました。彼女
のマミ(真田麻里美御嬢様)もただ呆れるばかり。ですが、そんなことで挫ける
様ではコレクターでは無いとばかりに探しまくるユウジ。そうした彼を斜に構
えた視線で見ているのが、筋金入りのSFマニアのテラダ(大塚明夫様)彼も、
無いから諦めろと言っているのですが……借金をしてまでデロリアンを購入し
てしまう無茶さ。そして……グラフィック・デザイナーのハサモト(山崎裕太
様)レアものならば見境が無いキム(櫻田宗久様)を巻き込んで、限りない争
奪戦がはじまろうとしていた……。

と……簡単に粗筋を紹介したのですが、実際の映画の構成は複雑怪奇でして、
謎の韓国人細工師が登場したり……遥か遠い未来に飛んでみたり……作中劇の
『ヘルバンカー』の紹介が出てきたり……と書いていると訳判らなそうな展開
ですが、異常な迄に奇麗に整理されているんですね。

監督の須賀大観様が、御自分をフィギア・マニアと認定しながらも、映画人と
して「醒めた眼」で観ているなぁ〜〜と思ってしまったのです。ですが……
コレクターの世界の醜い部分をも見詰めながら「しょうがねぇなぁ……(--;)」
と描いているのですが、「嫌味」はありません。

「フィギア」の世界を、関心の無い人にも知らしめようと言う感じが伺えるの
ですね。媚び抜きで……それが故に妙に好きな映画であります。

一番感心したのが、中年となって奥方に3回逃げられ……借金を拵えたテラダ
と言うキャラクターの造形。大塚明夫様が実に見事に演じておられ……出番は
少ないながらもしっかりと「締め」の部分を行っているのには感心し……同時
に他人事では無いなぁ(涙)と身につまされた部分でもあります。

自称「カルト部屋御挨拶係」大倉 里司
(2000年7月9日 シネ・アミューズ・イーストにて鑑賞)

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