(罠)『ブロークダウン・パレス)

実を言えば、この映画の監督、ジョナサン・キャプランの監督作の中で傑作だ!
と叫べるような作品が無いんですね……何時も「話題性」はあるのですが、押し
が今ひとつ足りない感じがします。
近年では、『告発の行方』も………ジョディ・フォスターが挑発しただけでしょう?
と思えるだけの作品ですし、今はビデオも店頭に並んで居ないですよね。(^^;;

そんな中で、珍しくキレが良いなと思ったのが、この『ブロークダウン・パレス』
でした。

それは、卒業旅行の最後の記念になる筈でした……と言うテープがバンコクで
弁護士を営む”ヤンキー・ハンク”(ビル・プルマン)の所に届く。クレア・
デーンズ御嬢様演じるアリスのナレーションと共に回想映像が綴られていく為
………非常に導入部の省略が効いております。

では………アリスに成り代わりナレーションをば………トトトン………

わたしとダーリーンは、片時も離れたことが無い親友同士だったの。最後の思
い出に、二人でモーテルのベッドメーキングのアルバイトをして旅費を稼いで
いたの………。ダーリーンは、まだ行ったことが無い地が良いわという提案……
わたしは、ハワイは目新しいものが無いし………友達の弟がタイで非常に安く
バカンスを過ごしたって聞いていたので、軽い気持ちで行ったのよ。勿論、
エコニミーでね。

まあ、行ってみたら………ホテルは汚いけど6ドルでは文句は言えないわよね
………それに、このホテルったらプールも無いのよ。河で泳げば………って?
冗談じゃないわ………ここを読んでよ。ほらこのページ。「河には生活排水が
流れ込んでいます………って」そしたら、一つ妙案が浮かんだの………宿泊客
を装ってホテルのプールで泳ぐって手があったじゃない………でも、それが全
ての間違いの始まりだったわ………



色々な側面があると思うのですが………一つには、日本の旅行者もそうなので
すけど、「自分の国で顰蹙を買うような行為は先ず先方でも大問題になると言う
こと」これを忘れて楽しむ御方が多いので領事館も大変なんですよ。

ぼくの経験から言っても、旅行者は、人一倍先方の国に対して敬意を払わなく
てはなりません。我々は所詮は「お金を落としてくれる消費者」なのですから。

でも………この映画、タイ王国に対しての国辱映画かも知れません。
麻薬に関しては、一番厳しいのがマレーシアでして、この映画の様に理由の如
何を問わずに「死刑」もしくは「無期懲役」が当然のお国柄。それに………
刑務所の中は、一種の「治外法権」的なのは、日本でも同じなのです。

この映画の中では、刑務所の中の心得的なものが薄く………刑務所映画愛好者
としては、多少物足りないところがありましたが……メジャー作品で、外国に
軽い気持ちでちょっと………と考えている御方には丁度良い薬かも知れません。

かなりの辛口の結末となっておりますが、これが現実の姿なのです。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(10月27日 新宿武蔵野館にて鑑賞)

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