(愛)『ブギー・ナイツ』

皆様、御機嫌如何でせうか?わたくし、マダム・DEEPで御座ひます。

「栄光」と「挫折」は何処の業界におひても御座ひますが、この『ブギー
ナイツ』と言ふ映画では、1977年から1984年迄のポルノ業界に
生きて、演じて、散つた方々への最高の供養となる作品でせう。

先ず、感じましたのが、画面の隅々に「愛」を感じるのでせう。

「偽善」と「虚飾」に溢れた「聖林」の一つ山を越へた、サン・フェルナンド
バレヱの地を舞台にその「殿方自身」を武器にのし上がつて行く、若手
スタア、ダーク・ディグラー(マーク・ウォルバーグ様)と元俳優と思われ
る映画監督ジャック・ホーナー(バート・レイノルズ様)そして、ポルノ女優
であるが故に子供との面会を拒絶されてゐるアンバー・ウェイブス(ジュリ
アン・ムーア様)が織り成す人間模様は、「虚飾」と「偽善」に満ち溢れた
「聖林」に比べて何と清々しく「品」に満ち溢れてゐることでせうか?

大倉もわたくしも観てゐて、何度「共感」の涙を流したことか判りません。

これより先は、大倉がどふしても書きたひと言ふものですから譲ります
わね………。

実に、この『ブギーナイツ』は素晴らしい作品です。本年度ベスト1候補
の最有力候補として大推薦させて頂きます。

これを観ていて感激したのが、70年代から80年代初頭に掛けての
フィルム画の色が非常に良く出ていることなんですねぇ。

僕は同性愛者なものですから、ゲイ・ポルノしか観る機会が無いので
すが、この『ブギーナイツ』のジャックの屋敷で屋外撮影するときの空
の色、日陰の部分が実に「その侭の色」なんです。

室内で撮影されたポルノが圧倒的に多いのですが、「野外物」も結構
ありまして、その時の澱んだ「不健全な明るさ」が充満しております。
この空気は、ビデオになってからは無くなってしまいました。
フィルム画からビデオ画になってからは、AIDSの問題も起きてきて
色々な「禁止行為」が設けられてきました。

映画は、そのフィルムからビデオへ移り変わるシーンも実に鮮やか
に描き出して頂いており、「愛」を感じずにはいられません。

僕が個人的に好きなのが、ゲイのスコッティが、ダークに一目惚れ
してしまって唇を奪う場面なのです。

このシーンは観ていて、本当に身につまされました。
彼の為に真紅の車を買い、大晦日の夜に迫るのですが………

「気に入ってくれなかったら、返そうと思っていた………」の台詞
には「愛しては為らない人を愛してしまった」苦悩が溢れており最も
好きな場面の一つです。

勿論、ダークはストレートですから、生理的に受け付けない訳で
拒絶致します。でも、「愛」を感じるのが、その後スコッテイに優しく
抱擁をしてあげる場面が用意されているのです。

時代と共に主演の座を巡って、監督と仲違いしたダークが落ちぶ
れてゲイ相手のハスラーにまでになってしまう所も痛かった。

この映画の中では、彼を買った男もゲイ・フォビア(ゲイ恐怖性)と
して囮として使われる設定ですが、僕が思うに彼もゲイだったので
は無いかと思うのです。

「このオカマ野郎が(-_-メ)」と罵倒しつつ、ダークを叩きのめす一味
に加わっているのですが、この頃の時代背景を考えると、彼は
自分でそうした傾向があるのを恐れて、そうした一味に加わった
のでは無いかと感じるものです。

そうして、何だかんだと言っても、彼には戻るところは唯一つ……
「公界」としてのジャックの家。

まつろわぬ民、社会の規範から少し外れた道々の者が寄り添う
場所。

映画を観ながら、僕も「公界」の一員として彼等に熱い声援を贈
り続けました。

東京地区では、今月27日まで日比谷のシャンテシネ1にて上映
しております。本当にこれは観て頂きたい一本として強く推奨させて
頂きます。m(__)m

「大河ロマンを愛する会」 大倉 里司(HCD05016@nifty.ne.jp)
『裏社交界の徒花』 マダム・DEEP(HCD05016@nifty.ne.jp)

「は」行で、はじまる映画の感想に戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送