(哀)『地獄の謝肉祭』

ベトナム戦争時のとある村。ノーマン大尉(ジョン・サクソンさま(*^_^*)(ポッ)
は、捕虜になっていた(ジョン・モーゲンさま(*^_^*)(ポッ)とトミー(ト
ニー・キングさま)が、飢餓の余り檻の中で人肉を食しているのを目撃……やがて、
その光景がフラッシュ・バックするのを止めることが出来なかった。奥方のエリザベ
ス・ターナーさまは、そうした夫の精神状態を心配する余り、精神科医に相談していた。
精神を病んでいたチャーリー・ブコウスキー軍曹が、無事回復し、精神病院を退院。
まずは上官であったノーマン大尉に飲みの誘いを掛けるが、フラッシュ・バックを怖れ
たノーマンはその誘いを拒否。自棄になったチャーリーは、戦争映画を観に劇場へ……
ところが、前の座席のカップルが濃厚なディープ・キス等をはじめてしまい、スクリー
ンに映し出された映像と相俟って……「あの日」の情景がチャーリーの脳裏を過ぎる。
気が付いていたら噛みついている自分が居た……。劇場から逃げ……ショッピングセン
ターに立て篭もるチャーリー。その説得に当たったのはかつての上官ノーマンだったが。


ハッキリ言えば下手糞な映画です。冒頭のベトナム戦争の実写フィルムと組み合わせた
撮影は見事なんですが、どうもアンバランスな箇所が多い。そして、「間」の繋ぎ方が
上手いところと「観るに堪えぬほど」酷いところの落差が凄いんです。

でも……下手糞だから「嫌い」ではありません。これほどまでに下手ながらも心を打
つ映画は他に在ったでしょうか?ベトナム帰還後……脱落していった兵士は数知れず…
ホームレスの大半はベトナム帰還兵と言うデータもあります。
そして……戦場での記憶と………チャーリーがポップコーンを抱きしめながら、戦闘
シーンに食い入る様に見つめる姿に涙。さらに………そんな前でいちゃつくカップルに
底知れぬ怒りを覚えるのも納得が行くんです(ホント……このシーンをはじめ戦場・兵士
絡みのシーンは上手いです)更に、ショッピングセンターに立て篭もるチャーリーの眼の
虚ろなこと……(涙)説得できるのはかつての上官だけ……

まあ……この「病気」がいつ再発したのかは?永遠の謎ですが……(笑)それを抜きにして
も、「食人種」となってしまっていても、考えることは普通の人間と変わらないところが、
「異形の民」となってしまった兵士たち……そして看護婦一名の哀れを誘う訳でして、追い
つめられた彼等が下水道に逃げ込み……次々と射殺されていくところは、「食人」と言う
テーマに託した70年代アメリカ裏面史と言っても過言ではありませんし、70年的な家族
の崩壊劇も巧みに織り込まれております。

そして……脚本を読んで、遣り甲斐がある映画だと信じて、演じていったジョン・サクソン
さま、ジョン・モーゲンさまの熱演も光ります。殊にジョン・モーゲンさまが最初に食人
をする際……見つかってしまったぁと言う「後悔」とそれでも食べ続けたいと言う「性」は
白眉と言っても決して過言ではありません。

そうした点が光るからこそ、映画としての出来栄えは劣るけれども『ハンニバル』よりも、

数百倍志が高い映画として大変に評価出来るし、自分としても大好きなんです。


自称「カルト部屋御挨拶係」大倉 里司
(2001年5月6日 ビデオにて鑑賞)

BGM:JEFFERSON AIRPLANE『WHITE RABBIT』

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