(縁)『コントロール』

数々の凶悪犯罪を起こし、“怪物”と恐れられた男、リー・レイ(レイ・
リオッタさま)の死刑が決定し、致死注射によって処刑が執行される。
その際に彼の脳裏を過ぎったのは、虐待された少年時代……少年院入り
の生活……出所後、再逮捕。そして、麻薬取引の現場から麻薬と現金を
強奪し、たまたま出くわした目撃者をも躊躇無く撃ち抜いてしまう……
そこで、彼の意識は混濁して行った……
数時間後、彼は死体保管庫で目を覚ます。彼の前に現われたコープランド
博士(ウィリアム・デフォーさま)は、リー・レイが被験者としてある
実験に無期限で参加することを条件に、死刑を回避できると提案する。
実験は、激しい気性を抑え、脳の性質を変える新薬“アナグレス”の効果
を調べるもの。仕方なく条件を飲むリー・レイ。実験を始めて数日で、
薬の効果か、彼に罪の意識や自責の念が芽生え始める。やがて実験結果
を急ぐ博士は、第2段階として、彼を実社会で一般市民と同じように
生活させることを決断するが…。


のっけから恐縮ですが、この映画に関しては書きたい材料が山の様にあって
自分でも何処から書いて良いか判らない状況です。書きたかったけれども
筆が及ばずって事が十分に予想されますんで、まずは映画館主・Fさまの
DAY FOR NIGHT『コントロール』感想文を推薦して置くこと
にします。今回位、何から何までビシバシと自分の思っている事が夫馬
さまの筆を通って流れている感じすら受けるんですよ。今回は……

と……逃げ口上を打っておけば、精神的緊張でセロトニンの伝達が阻害
される事も少ないでしょう。(^^;

実は去年の12月から
病名【うつ病】(『本当は怖いのどの渇き〜失わ
れた影〜』参照の事)
になり、精神科通いを2週間毎に繰り返しております。
うつ病とは、脳内にある情報伝達物質「セロトニン」が過大なるストレス
その他の原因により、正常に伝達されない為、気分が塞ぎこみ最悪の場合
自殺等の自傷行為に及ぶ事がある心の病。
この病なんですが、罹っている時期が長いのと、心配性の人が多いので
病気やら、お薬関係の事にやたらと精通する人が多いのが特徴(^^ゞ
かく言う自分も、ネットや、「病院で処方される薬一覧2004年度版」
等を読んで、処方されているのがどんな薬で「薬価」は一錠あたり幾らか
計算迄してしまいます。
映画の中でも「SNRIの売り上げが1番だ」とスティーブン・レイさま
演じたアーロ・ベナー製薬会社上級副社長がスピーチで申しておりました
が、言わば一世代前の抗鬱剤(正式名称 セロトニン-ノルアドレナリン
再取り込み阻害薬)自分の場合処方されているのが、三環系のアモキサピン
(元気が出る作用)と抗不安剤として「大吟醸」に例えられるレキソタン
の二種類。自分の場合、この二つでスパッと逝ったのですが……抗鬱剤
ってかなり個人差がありまして、ある人には劇的に効いても、他の人には
サッパリってこともままあります。そんな訳で、お医者さんと相談しつつ
睡眠導入剤に関しては、処方して頂いていたりします(自爆)

ですから……この映画の中で結構な量の医学用語が出て来たのですが、
その意味で大変に面白く観れたのと、この映画の鍵を握るのはどちらも
キレルとアドレナリンが大量放出しそうなお二人。どっちが死刑囚のレイ
を演じていても違和感が無いんです。(ついでに言えばスティーブン・
レイさまも含んで三環系(^^;)

で持ちまして……心を入れ替え、真人間になりました……と申しても、
やはりスキルは高い訳でして、新居に取り付けた監視カメラは見つけるわ
麻薬現場で遺恨が溜まっているロシアン・マフィア一味と互角に渡り
合うわと観ている間中、いい意味でのアドレナリン放出状態。
ところが……この映画、中盤以降思わぬ展開を見せ始めます。



 

 

本当に映画鑑賞の後に読んでください

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 



「善人なおもて往生を遂ぐ、いわんや悪人をや」(親鸞「歎異抄」)

この映画のテーマは、この言葉に凝縮されていると思います。
冒頭でのレイは、不幸な過去は判りますが、矯正不能な凶悪人として
描かれ、往生際一片の後悔の念も無い様に思えます……が……しかし

階段で頭部を撃ち、それが故に脳障害になってしまった被害者を獄中
で笑いものにしていた。それなのに何故か検査結果、彼の事になる時
だけは脳波、脈拍が若干高めになる……薬のアレグレスが効いていた
のでしょうか?
やがて、彼は不眠症に陥り、睡眠導入剤のお世話に迄なり、博士に
泣きつく。俺が悪かった……と。
そして……贖罪の意味を込めて、稼いだ金で近所のスーパーで買い物
をして彼の家に届ける。その中に一枚のレシートが入っていた事が
後に命取りになるとも知らずに……。

やがて、彼はミッシェル・ロドリゲス御嬢様演じた元麻薬中毒者の
学生テレサに好意を抱くが、足首に取り付けたGPS故に一線を越え
られない。
そんなレイに同情したのか……やはり、過去苦しい体験をしたコープ
ランド博士も段々と彼に好意を寄せ始めていく。

そこで待ち受けた陥穽……皮肉なものです。レイの「贖罪行為」の
ために彼は、被害者の兄に誘拐され、ロシアン・マフィア、そして
薬が効かないと判断した製薬会社のエージェントに追われる羽目に
なってしまいます。

窮地に陥ったレイを救ったのは、彼が殺人犯であった事を知りつつ
それを受け入れたテレサとコープランド博士。

が……無事逃げろと言う願いも空しく、彼は製薬会社のエージェント
に因って射殺されてしまう……そこで彼が死の間際にみたものとは……

虐待された少年時代……少年院入り
の生活……出所後、再逮捕。そして、麻薬取引の現場から麻薬と現金を
強奪し、たまたま出くわした目撃者をも躊躇無く撃ち抜いてしまう……

だが……今回は、それだけではありませんでした。ささやかだったけ
れども初めて幸福を味わった彼女との一時、窮地に陥った彼を庇って
くれた彼女の姿。

先程述べた「歎異抄」の中で、親鸞はこんな事も語っています。
お前が10000人殺そうと思っていても殺せないのは、殺すと言う
「縁」が無いからだ。もし殺すと言う「縁」があれば、お前がどんな
に殺したくないと思っていても10000人を殺さざるを得なくなる。
ここでの「縁」は、運命の様なものですが、人と人との繋がりも「縁」
と呼びますね。
最後の最後にテレサとコープランド博士と言う二人との「縁」を持つ
ことに因り、レイは安らかな気持ちで往生を遂げたと確信しております。

もう一つ、この映画には驚くべき秘密が隠されておりますが、今日
ここで書くのは野暮と言うものでしょう。
”あれ”がどうであれ、見えない「縁」に因って、極楽浄土へ旅立
った一人の男の話と自分はそう思っています。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
2005年3月31日 銀座シネパトスにて御縁を得る


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