(春)『クルーエル・インテンションズ』

皆様、御機嫌如何でせうか?わたくし、マダム・DEEPで御座ひます。

仏蘭西革命前夜の巴里社交界を、現代紐育高校生に置き換へた現代版『危険な
関係』で御座ひますが……翻案と致しましては実に良く出来ております。

美貌のキャサリン・メルトイユ御嬢様(サラ・ミシェル・ゲラー御嬢様)は、
親御様が再婚した関係でセバスチャン・ヴァルモン様(ライアン・フィリップ
様)と義姉弟で御座ひました。キャサリン御嬢様は、自分を捨てた殿方に報復
するため、従妹のセシル・ボランジュ御嬢様(セルマ・ブレア御嬢様)の処女
を奪ふやうに、セバスチャン様に持ち掛けるのでせうが、当然の事ながら断り
ますの……。セバスチャン様の目標は、セシル様では無く校長の御嬢様でいら
つしゃるアネット御嬢様(リーサ・ウィンザースプーン御嬢様)にあるので御
座ひました。そこで御二人は、密約を交わすのでせう……セバスチャン様が成
功したら姉の御身体を頂き、キャサリン御嬢様が成功したら、愛車のジャガー
を頂くとやうことに。ですが……アネット御嬢様の防護は、必要以上に固く、
セシル御嬢様の御母上の妨害も御座ひまして……それは大変な苦労で御座ひま
したのよ……。

原作並びに、一番忠実に映画化した八十七年のスティーヴン・フリアーズ版を
はじめ、他の映画化とも全て異なるのは、登場人物の年齢設定が異常に若ひこ
とでせう。監督並びに、脚本も御書きに為られましたロジャー・カンプル様は、
非常に良く過去の映画化を研究してゐるやうで御座ひまして、これはこれで単
体として観れば面白ひ作品でせう。

ただ、かうして設定を余りに若くし過ぎた為に、姉弟のやうな無理な設定にし
なくては為らず、原作の持ち味で御座ひますところの、メルトイユ侯爵夫人の
「毒」とヴァルモンに対しての屈折した思ひが……見事に抜け落ちてしまつた
のはまことにもちまして残念なこと……。

キャサリン御嬢様の涙も、違つた涙でありましたもの。やはり…わたくしに執
りましての『危険な関係』は、八十七年版に尽きるのでせう。

今回は「日記」で御座ひましたが………テエプ・レコオダアよりは、基本に忠
実で好きで御座ひますわよ。(につこり)


「裏社交界の徒花」 マダム・DEEP
(2000年7月4日 ビデオにて鑑賞)

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