(呪)『ザ・クラフト』

この映画、90年代の「オカルト映画」の「金字塔」になる傑作と思います。

この映画で興味深かったのは「儀式」もそうですが、「魔女」に対して
の考察が非常に深いと言う事です。
4人の女子高生が何故、「魔術」に傾倒して行くのかが興味深かったです。

昔より「放火と薬殺は女の犯罪」とされていましたが、「魔術」が世間一般
で認められていた頃は「呪術」も女性の専売特許でした。
中世から近世にかけて烈火を極めた「魔女狩り」は大部分の人が、教会の
利益の為に犠牲となった方々ですが、初期には「魔女」も含まれていたのも
事実です。

力も無いし、有力な殿方の庇護も得られない、法社会は男性優位に出来ている
となれば非力な女性たちが、卑劣な男性に対して行なう報復の手段は何か?
と言えば上記の3つに限定される訳です。
これは中国の清王朝末期に流行った「黒道教」も女の為の呪術と呼ばれて
来たものと同じです。

この映画の中で、サラは愛を望み、ボニーは美を望み、ロシェルは報復を
望み、ナンシーは力を望んだ。
彼女たちの望みは叶えられて行きますが、その果ての恐るべき報復とは?
これは、「太古の力」の凄さを表わしています。
仏教で言えば「阿頼耶識」(あらやしき)つまりは、潜在意識は「善悪の
区別」が無いからです。
ジェコーブズの名作『猿の手』に示された通り、願い事は何でも叶います。
しかし、その方法までは考えてくれません(今回は考えてくれたようだが、
その方法が行き着くところまで行き着いてしまう)
ですから「人を呪わば穴二つ」であり、今回の魔女リリオが言うように
「魔術には白も黒もない、使う人間によってどちらかが決まる」と言う
セリフになるわけです。

四人の魔女は、ユダヤの神秘思想であるカバラの言うところの4大元素に
基づいています「火・地・風・水」それぞれの対応は、12星座にも、
それに「黙示録」にも適用されています。(13星座は真っ赤なウソです)

今回観ていて意外だったのは、五方星形の魔法陣(使い方を間違えると
危険です)が一度しか使われ無かったこと。(リリオの店にある「神の眼」
のカーテンの向こうにありました)
何故、使い方を間違えると危険かと申しますと、天使を呼ぶか、悪魔を
呼ぶか上下をひっくり返すだけで使える意匠だからです。

本当にこの映画は、現役の「魔女」が指導に当たっているだけあって、
「技法」として「省略」はしていますが、ほぼ感じは掴んでいるように
思います。

映画として観ても十分に堪能できる傑作だと思います。m(_)m

大倉 里司

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