上手く書けるかどうか自信が無いのですが……C中隊に居た兵士達への
鎮魂歌として、ぼくが感じた各人のスケッチを描いてみたいと思いました。

所詮は……己の心を鏡にして相手を映すことしか出来ないのですが、
これしか彼等のことを形にして残すことは出来ないのです。

それと……これが書けたのも、一重に「TRL会議室」での皆様の書き込
みがあって、ぼくなりに纏めただけなのです。

ウェルシュ曹長殿へ……(ショーン・ペン様)

ぼくが思うに、この戦闘で一番苦しんだのは、貴方ですね。
テッラさんが撃たれて……あの地獄のそこから出したかの様な叫び声。
「もう止めてくれ……お願いだ……気が狂いそうだ。何でもしてやるから、
その叫び声だけは止めてくれ……」と恐怖で一杯だったと思うのですよ。
そして……腰にあった装備を捨てて、銃だけを持って銃弾の中を潜り抜
けた…。
でも、一番辛いのは、どうしても彼を助けることが出来なかったこと。
ニッコリとテッラさんに対して微笑むのですが……どれだけ辛かったで
しょう。ぼくには、到底背負うことが出来ない辛さです。

他の誰が……例え、テッラさんが貴方を許しても、ウィット君が許しても
ウェルシュさん……貴方だけは、絶対に自分を許さない。

かと言って狂う訳にもいかない……「殺されるか……嘘に漬かるか?唯一
出来ることは自分の中に島を作ることだ」と思って居られましたが、ぼくには
どうすることも出来ません。
貴方の魂が安らぐことが出来る場所が見つかる様に密かに祈るのみです。

あと……原作を読んだときから……貴方を演じるのはショーン・ペン様だと
思っておりました。素晴らしい出来でした。

ファイフ伍長殿へ……(エイドリアン・ブロディ様)

出番が少なく……涙……涙ですねぇ。
ピート一等兵(少年兵)が死ぬところで……周りの目を気にしつつ手を
握りますよね。あのシーンが何故か?は原作にも描かれてありますが、
(上巻375ページ)別に恥じることでは無いとぼくは思っております。
ああいった極限状態で……憎しみと恐れ以外の感情を持てたことは、
素晴らしいことではないでしょうか?
原作通りのオドオドした感じが良く出ていて秀逸でしたし、原作とは違って、
最後まで「善良さ」を失っていなかったのが……ぼくにとっては救いでした。

トール中佐殿へ……(ニック・ノルティ様)

ぼくも、一度目は、嫌な奴だと思っていたんですよ。でも、二回目の時に
艦上で、クィンタード師団長から差し出された煙草を貰ったとき、自分の
分に先に火を付けてから、師団長の方に火を付けるでしょう……。
これは、相当にプライドが高い人だなぁ……ってそう思いました。
そうした貴方が、人に頭を下げる苦痛は、ぼくも何となくですが解ります。

師団長からの「嫌み」は、貴方が軽蔑していたし……流す覚悟も出来て
いたので、痛くは無かったと思います。
ただね……やはり、自分の右腕であり、息子の様に思っていたギャフ
副隊長からも軽蔑された眼差しを受けたのが痛いのです。
ところが……ジョンまでも……と言う所で彼の自我が崩れはじめた。
必死になって、あれやこれやの説得をして……最後に残された手段は
自分をさらけだすことだけ……

「おれの本当の息子は釣り用具のセールスマンなんだ……」と。

此処が凄いところなのですが、あなたは愛情表現がうまく無い。
何とかジョンも判った様な顔をするのですが……内心は、恐らく……
「ああ、こんな風には為りたくないよなぁ」と思っている筈なのです。

でも、これはこれで仕方無いとぼくは思っております……。

ジョン・ギャフは未だ若いし、有能で或るが故に「挫折」を知らない人間
ですから……。
何れ……彼も「挫折」をした時に、思い出してくれることを祈るのみです。

でも、そうで無くとも判る時がくると……信じております。

あと……スタロス大尉を中隊長から解雇したのも……
「お前には、まだやり直せるチャンスがあるんだ……」と言う解釈も出来
るかなと思いはじめております。
ただ……「善意」の表現が「勲章」でしか表現出来なかったことが、軍人
たる貴方の哀しい性ですね……。

ケック軍曹殿へ……(ウディ・ハレルソン様)

ガムを噛みながら上陸するところは、流石に古参兵ですね。(^^)
(あと、ガムを噛んでいるキャラは、ホワイト少尉だけです)

サルが腹痛を訴えて……蹴飛ばそうか?と叱るところで、ウェルシュ曹長
に、「軍医の手当てを受けろ」と、御株を奪われたのは残念でした。(原作
ではケック軍曹のセリフ)
ぼくが……貴方のことを好きなのは、瞬時にして己の身を挺して仲間を守
ったことなんですよ。
ウィット君の言葉を借りる様ですが……貴方は死んでも立派です。
「妻に……男らしく死んだと伝えてくれ……」は、ドールくんは悩みながらも
書かなかったでしょうが……ベルさんはきっと書くでしょう。ベルさんが書か
なかったら、ぼくが書きます。
あと……貴方の死は、決して無駄には為らなかったのです……。
と言うのは、貴方が死んだ後、ベルさんがトーチカ偵察の時に、手榴弾を
使う場面があるのですが……その際に安全ピンの存在を目視で確認して
いるのです。

そして……貴方が水筒をベルさんに渡すシーン。これは同じ妻を持つ身と
して、「俺の分迄お前は生きろ!」と言うことだとぼくは思っております。
だからぼくは泣けてくるのです。

ベル二等兵殿へ……(ベン・チャップリン様)

フィリピンのジャングルと……ガダルカナルのジャングルはどう違いましたか?
奥様の為に、一度は中尉だったのを捨てて……再び戦場へと向かわれまし
たね……。
奥様のことばかりで頭が一杯の貴方でしたが……それが「狂気」から身を守
る術だったのでしょう……。
あと、ケック軍曹さんの死に因って、ドールくんと不仲だった様ですが、
トーチカの攻撃のシーン貴方が人を撃ったことで、呆然としているところで
ドールくんが黙って肩を寄せる。解り合えたのが嬉しくもあり……また、こう
した状況でしか解りあえなかったことは哀しくもあります。

ジョン・ギャフ大尉殿へ……(ジョン・キューザック様)

貴方に対して書くことは難しいのです。プロですし、目視だけでトーチカの
的確な場所を指摘できたのも流石……それに、部下を思いやる気持ち
も解ります。でも……持って生まれてきた「優等生」的な感じがするのです。
失礼だと思いますが……m(_ _)m
「挫折」を知らないし、味わったことも無いが故の屈折感の無さでしょうが……
ぼくは、貴方がクィンタード師団長(ジョン・トラヴォルタ様)の様に為らない
かが心配です。

スタロス大尉殿へ……(エリアス・コーティアス様)


前にも書きましたが、貴方は本当に偉い人です。軍人には向いて居ません
し、そのつもりも無いでしょうが、自分に課せられた運命を熟知し、己の持て
る方法でそれに対処したのには頭が下がります。
トール中佐が貴方を解雇したときも……これ以上、部下の死を直接見届け
ることは無いんだ……と思いホッとしたのでは……。
貴方の本当の家族の為に、余生を過ごして下さい。それがぼくの願いでも
あります。


ホワイト少尉殿へ……(ジャレッド・レト様)

これまた、難しいキャラですねぇ。(涙)
直ぐに死んでしまうので……書きようが無い……。これが非情なる戦場の
現実なのでしょうが……。(涙)

ところで……日本軍本拠地へ向かう霧のシーンの中で、やはり蘇っており
ましたね。(笑)(死後も、ガムを噛んでいたので解りました)

マクローン軍曹殿へ……(ジョン・サページ様)

戦場に於いては……「神」等居りません。哀しいことでしょうが、これが現実
なのです。貴方を見ていると……自分の弱さが出てしまいそうで怖いので
すが……。やはり……衛生兵に廻ったほうが貴方の魂の為だった様な気
が致します。

クイーン伍長殿へ……(デヴィッド・ハロルド様)


追悼会で某方と飲み会で会ったのですが……とてもトーチカの上で貴方
が銃を振りかざすのが怖かったと申しておりました。(笑)
ところで……第二次大戦ではノースリーブが認められていたのでしょうか?
ウェルシュ曹長の計らいか……スタロス大尉の気遣いか……謎ですが。
あと、トラックの荷台の上でワニの上で座っている貴方が印象に残ってお
ります。それを正面から、見つめているのがウェルシュ曹長で、横側から
観ているのがベルさん……そして、その後、ベルさんは別れの手紙を貰う
ことに為るのです。

ストーム軍曹殿へ……(ジョン・C・ライリー様)

炊事兵の役なのに……そうした場面が無くてちょっと残念でした。
(戦闘服にナイフが掛けてあります)
最初のカットではあったと思うのですが……(涙)
やはり、印象的なのはウェルシュ曹長と……「無感覚談義」をするシーン
なのですね。
「あそこに……死に掛けた若い兵士が居る……もう、おれは何も感じない」と。
でも、本当にはそう思っていないのでしょう?
「至福ってやつだな……」こう言いながらウェルシュ曹長の目は怒っており
ます。そして、ジンを飲んでいるウェルシュ曹長の目を見て、あなたは怯む
からなのです……うっかり言ってしまった一言で、ウェルシュ曹長から軽蔑
された侭なのはちょっと気の毒な感じもします。

あと、錯乱したマクローン軍曹の銃を後ろから取り上げるのは貴方でしたね。

あと……金歯の件で誤認をして申し訳ありませんでした……彼は……

デイル二等兵殿へ……(アリー・ヴァーヴィーン様)


そうだったのです……金歯を抜いて黒の袋に入れていたのは、デイルさん
でした。でも、ぼくは……貴方のことが一番良く分かる気が致します。
島に上陸して……ジャングルの中を通り、背丈程もある草叢の中で二人の
兵士の惨殺体が見つかりましたよね……。
最後迄残っていたのは……貴方ですよね。それから不愉快そうな顔をして
後にするのですが……炎の如く憎しみが湧いていた気がしたと思うのです。
そして……トーチカ攻略の時に7人の斥侯兵として参加し……。日本兵の目
の前で、匂い消しの為、鼻の中に煙草を入れるのも貴方……。
ウィット君が、にこやかにガムを差し出すのとはえらい違いです。(^^ゞ
そして……金歯を抜いて……手で転がす……。

デイルさん……あなたを支配していたものは、「恐怖」でしたね……。
何故かと言えば、戦闘服の一番上のボタン迄きっちりと嵌めていたのは、
あなたしか居ないのです。
何故だろうか?とぼくは考えました……一つ目は、凡帳面な性格。
確かにそれもあるでしょう。匂い消しの為に煙草を鼻に差すのもそう……。
でも、それならばツバを吐いたり……いくら敵兵の死体とは言え、素手で
死体の口を開けることはしない筈なのです。
であるならば……何故か?ぼくは「蚊」の存在だったと思うのです。
即ち、蚊に刺されてマラリアに罹ることを恐れていた……。だから幾ら暑く
ても腕を捲り上げることはしなかった……そして御丁寧に手首の処に布
を巻いております。

そして、背後から日本兵を撃つのもあなた……恐怖故です。

雨に打たれながら……貴方は肘で胸を抱えるようにして泣き叫びました……
ぼくも共に泣きました……でも、ぼくは……今考えると……泣くことに因って
少しでも楽になりたかったのです。
貴方の持つ苦しみの本当にささやかな部分ですが……本当に貴方の苦しみ……
痛みが伝わってきたのです。でも、ぼくは泣くことに因ってその苦しみを和ら
げようとしました。デイルさん……あなたも少しだけ……楽になりたかったの
では?
責めている訳では無いのです……御互いに楽になりましょう。

あと……二人……しかも大物(笑)

ドール一等兵くんへ……(ダッシュ・ミホック様)

貴方だけは……ドールくんとお呼びする失礼をお許し下さい。m(_ _)m

前にも書かせて頂きましたので、今回は手短に……。

何故知られていないかと言えば……名前を呼ばれて居ない唯一のキャラクター
なんですよね。(笑)
そして……意図的にウィット君と行動は共にしますが……絶対に会話はしない
存在です。(だから、あれだけ出ているのに目立ちません)
ウィット君が……「光」の存在だったら、ドールくん……貴方は優秀な「影」
ですよ……\(^0^)/

ぼくが……あなたのことを好きなのは……何もしないシーン。これが凄く上手
いのです。本当にキャラクターを知り尽くして演じて居られるのを感じました。
ドールくんとして歩き……ドールくんとしてラストで涼しげに島を見る……
このシーンの顔……ウィット君に一瞬とは言え、勝っているシーンです。
そして、島に入る前と船に戻るシーンでは顔が違うのです。完全に一皮剥け
た感じが致します。

最後に……ウィット二等兵君へ……(ジム・カヴィーゼル様)

殿……とか言われるのは、嫌でしょうし、ぼくもウィット君で通しております
ので……(^^)

何度観ても、冒頭で、あなたがカヌーを漕いでいるシーンを観るだけで
心が洗われます。

本当にお疲れ様でした……ただ、一つだけ解けない謎があるのですが?
あのう……捕まって船の中の御仕置き部屋でマッチをする時の回想なの
ですが……大人の男性は父親ですよねぇ……でも、何故少年が金髪なの?
あなたの髪は黒い筈なのに……(謎)

テレンス・マリック監督へ

あのう、テンガローハットはハゲ隠しと言う
噂が流れているのですが……真相は?(爆)
でも……素晴らしい作品でしたよ。ありがとう……。

「大河浪漫を愛する会」 大倉 里司

BGM:OST『THE THIN RED LINE』より『LIGHT』(この曲が一番好きですね)

(目次に戻る)

 

 

 

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