(美)『ダーク・シティ』

昨日は「映画の日」だったので、『アウト・オブ・サイト』、『ラブ&デス』、
そして、この『ダークシティ』の3本をハシゴしたのですが、どれも水準
以上で満足行きましたが、とりわけこの『ダークシティ』は突き抜けた
「大傑作」でした。

推薦文ですので、ネタを明かすことは避けますが、一言で言えば、
「各都市の持つ”闇”の部分を集めて、見事に融合に成功した壮大な
パッチワーク」ですし、その他の部分でも実に「納得」が行きました。

この映画を観ていて感じたのが、スティーブン・ソーダバーグ監督の
『カフカ〜悪夢の迷宮』でしょうか?

あちらは、20世紀初頭のプラハと言う「都市」が秘める「闇」の部分
を濃厚に嗅ぎ取りましたが、この『ダークシティ』では、ヴィクトリア朝
の倫敦の「霧」、二十世紀前期の東欧の諸都市の秘める「陰鬱さ」と
「退廃」、1940〜50年代のエルロイ描く所の「暗黒のロサンゼルス」
そうした「匂い」が実に濃厚に嗅ぎ取れるんですよ。

世界観は新しいものかも知れませんが、セットは実に古典的で、
だからこそ「潜在的無意識」に響くものばかりです。

娼婦の方の家にある真紅のビーズの「珠簾」なんかは「御約束事」
をしっかりと守っていて実に好感が持てます。

しかも、キャストが豪華なのも評価大です。

ちょっと陰気なキーファー君とか、歌姫を演じたジェニファー・コネリー
御嬢様、御懐かしいウイリアム・ハート様、そして『キャリントン』で
ドーラ・キャリントンの最初の恋人を演じたルーファス・シーウェル様

この方々が、世界観の中でも、キチンと「個性」を出しているのが
凄く嬉しいですよ。

僕は、SFには何の思いれも無い「異端児」ですが、この映画は見事
な迄の傑作だと思いましたし、ラストに示した「平安」は、「愛」に満ち溢
れております。

今年の東京国際映画祭でグランプリを受賞した『オープン・ユア・アイズ』
は、この映画に比べると残念ながら「品格」が違うのを感じざるを得ませ
ん。そうした意味で今年の東京ファンタスティック映画祭は異常な迄に
レヴェルの高いものだったのでしょう。

行けば良かった………(涙)

美術関係の御仕事を志す方は、「感性」を広げる意味で本当に必見
の映画です。『ブギーナイツ』は「愛」ですし、『ダークシティ』は「美」の
結晶でしょう。

「大河ロマンを愛する会」 大倉 里司(HCD05016@nifty.ne.jp)

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