(和)『ダーク・ウォーター』

かつての夫カイル(ダグレイ・スコット様)と離婚調停中
のダリア(ジェニファー・コネリー御嬢様)は、最愛の娘
セシリア(アリエル・ゲイド御嬢様)の親権を得るために、
家賃の高いマンハッタンを離れ、集合住宅がひしめく殺伐
としたルーズベルト島の、古びたアパートへ引っ越した。
暗く不気味な建物に違和感を覚えつつ、新生活を始めた
ダリアとセシリア。しかし、部屋の天井に広がる黒い染み
や、奇妙な水の事故、階上から聞こえる足音に不安を感じ
たダリアは、親権を奪われるプレッシャーと偏頭痛に悩ま
され、悪夢を見るようになる。

この元ネタの『仄暗い水の底から』(中田秀夫監督版)は
どうしようも無い駄作でしたが、監督のウォルター・サレ
スさま、脚本は『フロム・ヘル』のラファエル・イグレシ
アスさま、そして美術監督が『ヘドウィグ・アンド・アン
グリーインチ』のテレーズ・デプレスさま、撮影がアフォ
ンソ・ビアトさま(『オール・アバウト・マイ・マザー』)
と一流のスタッフを使い見事な作品に仕上げています。

そして、キャストの方も親子二人の他に胡散臭い不動産業
者にジョン・C・ライリー様、頑固者の管理人をピート・
ポスルスウェイト様、そして弁護士として登場するのが
ティム・ロス様と中々キャストも豪華です。

映画の構成としては元ネタ(原作は未読の為映画版での評
価になりますが……)とほぼ同一なんですが、本作では
より一層孤独の影が色濃くなっております。

ヒロインのダリアは、母親に棄てられた経験を持ち、現在
も夫と離婚調停が進まず裁判へと縺れ込みます。一方アパ
ートを斡旋する不動産業者もどう考えても気侭な一人身で
すし、昼間からいい年をしてポルノビデオを観ている管理
人もやはり一人。更に追い討ちを掛ける様に知人から紹介
された弁護士も「家族が居る」と嘘をつきながら実質上は
車中暮らしで独り寂しく映画館にポツリ。

この映画のほぼ全員が「根無し草」の設定なんですね……。

そして彼女が移住したアパートの何とも陰気臭い事!!
良くぞ見つけたこの物件!って位ピッタリと嵌りまくって
います。そして「淡水系マニア」をも唸らせる水の描写の
巧さ!

何でも中田秀夫監督が聖林で評価されているのは、「水の
描写が上手い」と言うことらしいのですが、貴方のその目、
ひょっとして節穴ですか?とハッキリ言ってしまいましょ
う!彼位水を描くのが下手な監督は居ません!(断言)

『仄暗い水の底から』を駄作と決め付けるのは、水道水と
雨水、河の3種類の水を描き分けることが出来ていないか
らなんです。

それに比べて『ダーク・ウォーター』では、ハドソン河の
トラムからの光景、ダリアが川辺を歩いているときのかな
り早い流れ……河に勢いを増す雨水……そして蛇口から流
れ出る水道水。全てが違った表情を魅せてくれております。

更にこの映画では室内装飾が大きな役割を占めておりまし
て、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のテレー
ズ・デプレスさまがご担当になっているだけありまして、
10階の一見豪華な作りながらも何故か生活感が無い室内
生活感がありすぎる弁護士の車中。メインの舞台となる9
階でのダリアの部屋。引越しのシーンで磨きこまれた鍋を
棚に仕舞いこむ場面での絵作りの上手さには唸りました。

そして……弁護士が携帯でパシャリと撮る……これは「現
世」との別れを象徴しているんだなぁ……と見終わってハ
ッとする隠喩の数々。

最後になりますが、この映画の最大のテーマは「和解」に
あると踏んでいます。
娘を思って夫との「和解」……ここで初めて人間らしい感
情を出すダグレイ・スコット様が素晴らしいですね。そし
て、娘を助ける為に亡霊と「和解」するヒロインのダリア。
現世の者では無くなったけれども最後に母の愛を感じる
セシリア……何れは、父のカイルとも「和解」を果たす事
になるのでしょう。唯一「和解」出来なかったのが、ダリ
アとその母でしたが、あの世で「和解」する事は叶ったの
でしょうか……。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2005年11月18日 ワーナー・マイカルシネマズ市川妙典にて鑑賞)

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