(新)『DEAD−OR−ALIVE』

三池崇史監督は、御自分のことを評して「わたしは、アレンジャーですから」
とおっしゃる。ぼくも、監督のことはそう思っているのですが、三池監督は消
化吸収力がハンパじゃないんですね。

と………言うのは、この『DEAD -OR-ALIVE』を観ていて思ったのですが、「何処
かで見た様なシーン」があるのですが、それが何かを指定出来ないんですね。
しかも、それが一個所だけでは無く複数あるんです。

映画から影響を受けたものを初め、音楽、風俗……とトレンドからちょっとず
れた視点で独自のものを作り出す手腕は大したものです。

映画は新宿歌舞伎町不夜城の利権と勢力を競う中国系ギャングと新宿歌舞伎町
を牛耳っていた古株の暴力団「桜井組」との間には麻薬の流通に因って、一種
の共存共栄が成り立っていたが、中国系新進ギャング団本上(竹内 力様)の一
団が入ったことにより、その構成に乱れが生じようとしていた……が、その間
隙に付け入って二大勢力をどちらとも潰そうとする刑事、城島(哀川 翔様)が
いた………。
だが、新宿署の論理は、「パワーバランス」の世界。次第に城島は自分が主流
から外されていくのを感じていたし、娘の手術費用が二千万円掛かるという家
庭の悩みも持っていた。片や、本上も弟とのソリが合わず、仲間の一人からは
裏切り者が出たり、味方を桜井組に潰されようとしていた………その二つの刃
が交差する地点はそう遠くは無かったのである。

映画を見ていて感心した……と、言うよりも驚いたのが、よくこれだけ歌舞伎
町内でロケの許可が下りたなぁ………と言うこと。

時期的には、今年(99年)の5月から6月に掛けてでしょうが、恐らく早朝
の撮影ばかりを一気にしなくては為らず、スタッフの方々は大変だっただろう
なぁ………と同情しきり。(涙)

新宿歌舞伎町は普通の街では無いんです。まず、当たり前のことなんですが、
新宿署に許可を出し、組まわりにも「御挨拶」をしてからで無いとちょっと不
味いんですね。(^^ゞ
製作が大映&東映ビデオと言うこともあり、その方面に顔が利く人もいたので
しょうが、それでも大変だったであろうことは想像がつきます。

ただ、新宿歌舞伎町に関しては、ホント「必要悪」って概念が正論でして警察
が手抜きしても、渋谷の様に青年が凶暴化しないのは「組組織」が、がっちり
とバランスを取っているからなんですね。(^^)
だから、「危ない店」に入らなければ大丈夫ですし、渋谷よりも数段安全に夜
を過ごせます。(^^)

さて、映画の方に話しを戻すと、「新宿通」には堪えられない場面が多数。
強盗シーンが歌舞伎町コマ劇場前→西武新宿駅ロッテリア前であるのですが、
仲間の一人が忽然と姿を消し、本上は彼を探しに戻るのですが、何と次のシーン
では、丸の内線新宿方面改札(A−9)に居るんですよ。
うーん。随分足が早い人ですねぇ………(^^;;
走った場合、コマ劇場通りから靖国通りに出て、それから大ガードを潜って小田
急百貨店下にある第一勧業銀行横の階段を降りないとあの様なアングルにはなり
ません。(^^ゞ

そうした、細かいツッコミが沢山入れられる実に楽しい作品です。
また、花園街&ゴールデン街の描写には、「愛」があります。
これは、追跡シーンで追手がゴールデン街3番通り……5番通りを走っていく
場面ですが、撮影の都合上一番良いロケーションは、『深夜+1』がある一番
通りの手前が、駐車場となっていて、カメラも廻しやすい筈なんです。

何故、5番街で俯瞰にしたのか?

実は、これを観ていて驚き、また懐かしくなったのですが、かつて『まえだ』
と言う文壇バーがあり、水上 勉様や、佐藤 慶様、田中 小実昌様等が常連で
名を連ねる名店があったのですが、『まえだ』の「お母さん」は、惜しまれつ
つ10年前に他界致しました……。
今回ゴールデン街5番街でロケハンをしたのは、間違いなく『まえだ』の「お
母さん」に対してのオマージュなんですね。と……言うのは、画面が制止した
ときに店の看板も映るのですが、丁度画面の真ん中に主は居なくなった『まえだ』
の看板が誇らしげに映っているではありませんか……(感涙)

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(12月5日 中野武蔵野ホールにて鑑賞)

BGM:OST:『フィフス・エレメント』より『The Diva Dance』

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