(愛)『でべそ〜de・ストリップ』

1995年12月末日に幕を降ろした、ストリップの殿堂・渋谷道頓堀劇場の名物
オーナー・矢野浩祐さまの自伝を基に望月 六郎監督が惜しみない「愛」を
注いで描き切った名作!

昭和35年、北九州の小倉で矢部(片岡鶴太郎さま)は、組のイザコザに
巻き込まれ、殺人未遂罪で二年間の服役をした後、「九州座」と言うスト
リップ小屋を巡業する一座の座長となった。最初は女で食べていくのが嫌
でたまらなかったが、段々と彼等の痛みが肌で判るようになり名座長(大元)
と呼ばれる存在になる……。そして一座の看板娘マヤ(川上麻衣子御嬢様)
と恋に落ちていく。

現在は、道頓堀劇場は札幌のススキノにあるようですが……組を裏切ったこと
により、九州の小倉から信州、そして北海道へ一座の逃避行迄を描き切ってお
り、北海道は思い出の場所だったのだなぁ……と再認識。

ビジョン・スギモトとワニ・ブックス両社の配給でして、パッケージを含め
「エロ」路線と思われるでしょう……当たっています。(笑)全編の7割以上
が「濡れ場」とか「裸」を見せるシーンなんですが、凡百の作品と大きく違う
のは「泣ける濡れ場」だと言うこと。ストレートの方でしたら「抜ける濡れ場」
をも含んでいるかも知れないですが、この「泣かせのツボ」の押え方は尋常で
はありません。

「九州座」から「硬太座」となって、一座は巡業の旅。出てくる風景が総て良
いし、エピソードも秀逸。幾らでも感涙シーンはあるのですが、ストリッパー
の桃子ちゃんとベサミのおっさん(寺田農さま)の結婚式シーンは格別でして、
一座が使っている舞台兼大広間で二人が座っている……。
ウェディング・ドレスを身に纏った桃子ちゃん。祝言の盃のときに、おっさんは
「やはり……出来ません」と言うんですね。
「私は戦争の時に南京に居た……笑いながら人を殺し、女を犯した……そんな
自分が結婚式なんて目出度いことが許されて良い筈が無い……(涙)」と……
「やめよう……戦争よりも……ボボ(SEX)がええ」とマヤ御嬢様が言う台
詞があり、二回目でも滂沱の涙。
そして、二人のために別の部屋を空けてボボをしているのですが、「結婚おめで
とう(^^)」と下手糞な字でお祝いの額が飾られているんですよねぇ(涙)
ピンクの紙にマジックで書いた字とうらぶれた部屋……まぐわる中年男と若き
ストリッパー……これでもかぁ!とばかりに被さるテーマ曲。書いていて恥か
しくなる位にコテコテですよ。でも好きなものは仕方無い……自分がほんとう
に観たいものは、こうした映画なのですから。

北海道に渡って、函館では不入り……仕方無く、農村での夏祭りへのドサ廻り。
農家のオバチャンたちが踊り子に接する態度の何と暖かいこと。(感涙)
そして、それに応えるべく、ひとりの踊り子が見せた「舞ひ」とは……(滂沱)
その姿は何とも気高く、美しい装いであることか……

数ある望月 六郎さまの監督作の中でも『鬼火』と並んで個人的ベストに位置する
名作であると信じて疑いません。滅多に在庫が無いとは思いますが在った折りに
は是非借りて欲しい一本として強く推薦いたします。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2001年6月6日 ビデオにて鑑賞)

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