(草)『トゥー・アンド・フロー』

ところは、メキシコの片田舎。3年前にアメリカの農場に出稼ぎに行ったフィ
リベルト(ヘラルド・タラセーナ様)が戻ってくるが……母親は既にこの世の
人では無く、昔の恋人ソレダ(ティアレ・スキャンダ御嬢様)は、自分の親友
であったルイス(リカルド・エスケイラ様)と結婚して子供迄設けている始末。
更に、大農場の支配主と小作人待遇のルイス家との間で水源を巡る血生臭い争
いが起きようとしていた……フィリベルトの立場は、血縁では当主側……心情
的にはルイス側とどっち着かずの立場を保っていたが……

良く出来上がっている映画なんです。撮影が見事でして墓地のシーンはギュス
タヴ・モローの諸作品を思わせるような幻想的な光景です。ただ……どうも、
フィリベルトのキャラが自分に似ていて、実力も無いのに強がってみせたり、
目上にはペコペコ……下には(と……言ってもそうそう居ないんですが)エイ
コラタイプでして徹底的なダメ男なんですねぇ……そこまで落としたならば、
ハリウッド映画だと……何か特殊な技能を持っているとか……無い勇気を振り
絞って云々……と立ち上がらせる設定にするんでしょうが……リアリズムなん
です。(笑)
甘い展開など用意されている筈も無く……フィリベルトはどんどんと転がり落
ちていくのがチト辛い……ただ、話としてはリアリズムなんですが、描写はカ
ラリとしているんで、そんなに落ち込まないで観てられるんですが……。

これを観てかなり身につまされました……何とか水源奪回の為、弁護士にルイ
スが頼むところなんかは、自分もお世話になっただけに……痛いんです。(涙)
そして、フィリベルトは何も出来ないし……なんか状況に苛つくだけなんです
わぁ……

嫌いでは無いけれども……大絶賛と言う訳には行かないんです。どうも座り心
地が悪い映画と出会ってしまったなぁ……

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2000年10月30日 東京国際映画祭 シネマプリズムにて鑑賞 渋東シネタワー3)

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