全国津々浦々に点在しているオカルト映画ファンの皆様、今晩は。大倉です。
本日、『ディアボロス〜悪魔の扉』を鑑賞致しました。70年代オカルト映画に
馴染んできた身としては、ショック描写が弱いかな〜〜。と思ったりもするので
す。
何せ『エクソシスト』では、少女リーガンが緑色のゲロを吐くわ、首が360度
回転したり、『オーメン』に於いては伝説の「首チョンパ」が或りますし、
『キャリー』は、体育館を火の海にしてしまう位の「見せ場」がそれぞれ
用意されていて、そうしたシーンが或る度に「オオッー」と快哉を叫んでいた
わけなのですが……。今回も有るにはあるけどちょっと弱いのです。
ただ、オカルト物として観るのではなく、法廷サスペンスとの合体映画と思えば
これはこれで楽しめますし、何よりも追いつめられる側の心理描写が上手い。
それに、アル・パチーノの存在感がこの映画を支えております。負けるなデ・
ニーロ。悠長に茹で卵を割っている場合じゃないんですよ。(^^;;
(以下映画の内容に若干触れております。核心部分は書かないけど)(^^)
この映画の脚本はジョナサン・レムキンと言う方と『黙秘』のトニー・
ギルロイ様が書かれておりますが、この脚本の細やかさに痺れました。(^^)
至る所に伏線が張られており、ラストに向けて、その糸が一本一本解けて
いく快感。
とりわけ、キアヌ・リーヴズ演じるケビンの*が抱える(内容漏れ防止の為
伏せ字)二十年前の忌まわしい「記憶」………。
「過去に何があったのか?」を一つの核として描き出す手法は健在。
しかし、「過去」にこだわるギルロイ先生の「闇」も相当に深そうですねぇ…。
配役もアル・パチーノ演じるジョン・ミルトン(失楽園の作者と同名)の存在感。
ジェフリー・ジョーンズの手堅い脇役ぶり、チャーリーズ・セロンの段々と狂気
に追い込まれていく演技。キアヌ君は短髪じゃないから好みじゃないの(笑)
う〜ん。でも配役の都合上仕方が無いのかなぁ………。(謎)
でも、ブレンダン・フレイザーの方が良かった気もするのですが………。
あと、特筆すべきは美術面の凄さ。
ミルトン法律事務所の会長室にさりげなく置かれた曲木細工の長椅子
(作者は調べたが不明………一度見た記憶があるのですが)、それと平行
して置かれたデスクの上の置物。何かケルトの匂いがするなぁ………(^^)
役員専用のアパートメントの装飾品、家具。シャンパン・グラス、ワイン
クーラー欲しい………。(^^ゞ
調度品は人の「闇」を象徴するのにも大きな役割を果たしております。
例えば、妻のメアが最初に壁に塗っていたのは緑色(心身の安定を図れる)
ですが、心身が衰弱するに従ってドア等を放置したまま室内を荒らしてしま
い、壁の色も茶色になってしまう怖さ。
それと、不動産王のカレンのアパートメントは、秀吉も真っ青になる位
の金ずくめ。秀吉が生きていたら釜茹での刑間違い無し。(笑)
最後になりますが、一つだけ疑問点があったので書いておきます。
ミルトン法律事務所に入って最初に担当した事件のことなのですが、山羊
を儀式の為に殺したとして、衛生法違反で逮捕された術者が居りますが、
彼が相手方の検事の口を封じる為に術を掛けます。
見たところブードゥの流れでは無いかと判断するのですが、この時に検事
の名前だけ解れば良いと言う感じでしたが、これで掛かるのかな?
20世紀最大の黒魔術師であった、アレイスター・クロウリーですら、
術を掛けるのには、相手の唾液、爪の切れ端、髪の毛等身体の一部を
必要としており、術の怖さを知っていた彼は自分の身体の一部を処分
するのには細心の注意を払っていた筈です。
せめて、髪の毛位混ぜる描写があれば説得力も出てきたのにそれが、
ちと残念ではあります。
大倉 里司(HCD05016@nifty-serve.or.jp)
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