(絆)『トンネル』

20世紀を代表する出来事としては、核爆弾や生物&科学兵器等の巨大殺戮
兵器の開発と東西冷戦とその終焉があるでしょう………その東西冷戦の象徴
とも言えるのが、1961年8月13日にベルリンに出来た壁と1989年
11月9日に崩壊した壁でありましょう。

38度線を挟んだ南北朝鮮問題はもう少し厄介な問題を抱えておりますが、
東西ドイツは、20世紀中に統合するのでは?と言う識者も沢山居た程なん
ですが………やはり「歪み」はあったのですねぇ………と実感させられたの
がこの映画なんです。

一夜にして家族や恋人たちは東と西に引き裂かれ、人々はあらゆる手段を用
いて東西の垣根を越えようとしておりました………。不正書類で出国した人、
命がけで壁を越えた人、ハンガリーやオーストリアといった第3国経由で脱出
した人、そしてまた、壁の下に145メートルのトンネルを掘り、脱出を図っ
た人々がいた………。並外れた水泳選手でありながら、反国家的とレッテル
を貼られ、自分だけは西側に脱出したが、東側に残した愛する妹ロッテ(アレ
クサンドラ・マリア・ララさま)を救い出すためトンネル計画を思いつくハリ
ー(ハイノー・フェルヒさま(*^^*)ポッ)スパイを強要されている妻と生まれた
ばかりの子供を東ベルリンに残し苦悩するエンジニアのマチス(ゼバスチャン
・コッホさま)、そして生まれたばかりの子供をカタにスパイとして協力させ
られている悲運のヒロインのカロラにはクラウディア・ミヒェルゼンさま(*^^*)
ポッ<女で(*^^*)ポッが出るのは貴重!!!!
元米兵で、地雷によって義足を嵌めた勇士ヴィクトリオ(マフメット・クルトゥ
ルスさま)トンネル計画をバーで聞き、東側にて壁を付くっていた恋人の救出に
動くフリッツイ(ニコレッテ・クレビッツ御嬢様)がそれぞれの想いを胸に
この計画に動いていた………

3時間近くある大作ですが………観ている間は時間を忘れます。「実話」ベース
と言うこともあるんですが、折り込まれたディティールがどれもこれも秀逸で、
しかもキャラクターがそれぞれに立っていて、必要最小限の台詞や視線で彼らの
心情が読めるんです。その為に「話の展開がまるで読めません\(^0^)/」
と……言うのは、西側チームと言えども、それぞれの思惑があり、東側の国家
保安省の大佐のクリューガー(ウーヴェ・コキッシュさま)も大佐に為る程です
から憎々しい程に有能なんです。

実に上手いと思うのは「登場人物の欲望」によって、物語が紡ぎ出されていく
ところなんです。「まず、話ありき」では無くて、登場人物が置かれた状況、
心情によって、他の人間にアプローチしますよね。その際に「話が動く」と申し
ましょうか?9ヶ月に渡る物語ですから、色々な「心情の変化」も当然あります。
それを巧みに掬いとって脚本に生かしているのが判るんです\(^0^)/

最初は、主人公のハリー(ハイノー・フェルヒさま(*^^*)ポッ)で見せていた映画
だと思うんですよ。とにかくセクシーです!!!男臭さムンムン(*^^*)ポッ
そして、西側の「紅一点」のフリッツイ(ニコレッテ・クレビッツ御嬢様)が絡ん
でくる………彼女は、「恋人」としてでは無く、「兄さん」として最初は慕って
いたんです。何故ならば「恋人」は東側の目の前に居るからなんですね………
ところが、彼は勝手に解釈してしまう………若さ故の焦りでしょう。それが故に
悲劇を招くのですが………このシーンが映画全体のクライマックスであり象徴で
しょう。自分が積み上げた壁を超えようとして、彼を撃ち殺してしまう若き警備兵
の怯えたような、撃ってしまった哀しい目が印象的です。一生抱えて生きていくん
でしょうねぇ………(涙)

誰にとっても「幸せでない」状況………その象徴が「壁」なんです。

フリッツイの場合は、良かれと思って出た行動が悲劇を招いた事柄ですが、己の
運命を見据えてそれに立ち向かった真のヒロインこそが、マチスの妻、カロラを
演じたクラウディア・ミヒェルゼンさま(*^^*)ポッなんですよ\(^0^)/\(^0^)/

冒頭でマチスと生き別れに遭い………生まれてくる子供を担保にスパイとして、
ハリーの妹ロッテと近づく。一度は大佐に真の情報を流したものの、ロッテとの
絆と自分の本心を偽ることが出来ず、「ある計略」を練るんです。(*^^*)ポッ
このやり取りは、自分が生涯で最も影響を受けた珠玉の一本『ジュリア』すら
彷彿とさせるものでして、計略が成功したときに大佐に見せたうっすらとした
微笑は、まことのヒロインの御顔!シワの一本一本までが美しい\(^0^)/\(^0^)/

ですが………まだまだあるんです。最後の最後までドキドキさせ、熱い涙を流
させ、「壁」の崩壊をも含めて最後にホッとさせる。2002年度ベスト1の
貫禄十分の傑作です。

初代「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2002年4月14日 日比谷シャンテシネ1にて鑑賞)

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