(忌)『死刑執行人』

2000年5月19日よりはじまっていた「地中海映画祭」も本日で最終日。
幾つか観たい作品があったのですが、本日はその内3本を無事観ることが出来
ました。

技師としてドイツに渡ることが夢のホセ・ルイス(ニノ・マンフレディ様)は
葬儀社に勤めている身。本日も、死刑が執行され、同僚と共に遺体を引き取り
に行くときに、死刑執行人のアマデオ(ホセ・イスベール様)と知り合いにな
る。葬儀車にアマデオを乗せ、家まで送っていったが、その際にアマデオが持
っていた謎の鞄を彼が忘れてしまった為に、仕方なく彼の家に届けにいくこと
に……アマデオの家には一人娘のカルメン(エンマ・ペネリャ御嬢様)が居て、
二人はいつしか恋仲に……そして妊娠。その責任を取る為にホセは、結婚せざ
るを得ない羽目になるが……結婚式から前途多難。おまけに新居獲得の為、定
年退職したアマデオの生業。死刑執行人をホセが継ぐことに……やがて、彼に
最初の仕事が訪れる。それは、地中海に浮かぶリゾート地、マヨルカ島だった。

全編を覆うブラックな笑いが秀逸。1963年の映画ですが、今でも笑えるネ
タがあると言うのが凄い。一番なのが、死刑執行人を見守る他の人々の反応。
娘のカルメンは、「死刑執行人の娘」だからと言う理由で何度と無く破談し、
ホセも「葬儀屋」だからと言って破談する……言わば「同病相憐れむ」状態。
「死」と言う存在を間近で見たくないと言うのは誰しもが持つ感情。そこを上
手く吸い込んでいます。

ホセの兄も仕立て屋なのですが、軍服と僧服しか作らない。言わば「死」を司
る仕事服専門ですし、首回りに固執するところが、ブラック(笑)

このホセが、何とか逃げ失せようと考えて、あれこれ策を弄するところが「可
笑しゅうて、やがて哀し」死刑制度がある限り、死刑執行人は無くならないの
ですし、現在日本の方でも、ボタンが5つあり誰が押したのかが判らない様に
配慮が為されております。

近代刑法論を覆すような暴言を書きますが、自分は死刑廃止論者です。
が……「応報論」で言うのならば、被害者の遺族がボタンを押すのならば賛成
なんですよね。何故廃止論に傾いたかと言えば、「看守」の方々の心労を考え
るとこうした結論に行き着いた訳です。実際に死刑に立ち会う検察官の中にも
少なからず死刑廃止論者の方が居ると言うのも何となく判る気が致します。

「裁判映画友の会」大倉 里司
(2000年6月4日 地中海映画祭(国際交流基金フォーラムにて開催)にて鑑賞

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