(無)『イングリッシュ・ペイシェント』(罵詈雑言モード編)

皆様、こんにちは。「大河ロマンを愛する会」の大倉と申します。

くれぐれも申しあげておきますが、以下の発言は、「大河ロマンを愛する会」
としての公式見解ではなく、あくまで僕が、同協会にこの作品を推薦できな
いかのかを述べたものです。

映画としての完成度は非常に高い作品ですし、映画を観ながら泣いたの事実です。
でも、僕はどうしてもこの作品を、3つのシーン故に好きになれません。
3つだけですが、その3つとは作品のテーマに深く関わってきますし、
僕の人生観にも深く関わってくる問題なのです。


*****好きな方は極力読まないで欲しい罵詈雑言モード*******




僕が、この映画が最終的に嫌いになったのは、次の3つのシーン故にです。


1.理由はどうあれ、アルマシーが地図をドイツ軍に売ったのは紛れもない事実
です。その為に砂漠の進撃が非常にしやすくなったのも間違いの無い事実であり、
多くの人命がそこで失われたわけです。
彼は、ウィリアム・デフォー演じるカラヴァッジオに言われながらも、反省している
ようには見えない。

勿論、長い年月の末反省はしていたと思いますよ。でも、後悔してる様子はなか
った。(映画の中では)
戦争と言うものは、どちらが正しく、どちらが間違っていると言う問題ではないの
ですが、少なくとも自分のした行ないによって多くの人命が失われたことに間違い
は無いのですよ。

そのことに何の反省もなく、のうのうと自分だけが生きていると言うのは許せま
せん。

2.地図をドイツ軍に売って、洞窟に行ってキャサリンの屍を抱きかかえるので
すが、彼女があまりに奇麗すぎる。(笑)

まあ、彼がキャサリンを愛していたのは真実でしょう。ところで、アルマシー伯爵、
一つ質問があるんですが、ジェフリー様の御墓は作りましたか?
愛しいジェフリー様を置いておいて、キャサリン様だけを飛行機に乗せると言う
のは虫が好すぎではないですか?(激怒)

彼があんな死に方をしたのは、貴方もキャサリン様も二人とも同じぐらい愛して
居たからです。3人で死のうと思ったからあんな行動に出たのです。
貴方も、キャサリン様も彼にとっては必要だった。彼の心中を思うと涙が出ます。
どんなに遠く離れていても「墓」を作ることが人間としての最低の務めと信じます。

で、キャサリン様なのですが、奇麗なのは別に良いんですよ。但し、心象風景
として捉えた話しです。
蝿がたかって、ウジ虫を水で洗い落として、体のあちこちが損傷している彼女
の骸を抱きかかえてこそ「愛」と言えるのではないでしょうか?

ワンシーンでも、実際の彼女の損傷した死体を見せておいて、でも彼の眼には
昔のままの美しさがあったと言う演出の方がずっと気高い演出だと思います。

3.彼は自分の人生に終止符(ケジメ)をつけていない。

これが僕の愛する「大河ロマン」ではないと断言する理由です。
今迄、敢えてジュリエット・ビノシュ演じる看護婦ハナのキャラクターについて
敢えて触れないでおきました。ここで対比するためです。
ジュリエット・ビノシュの演技は特筆ものです。それにハナと言う女性ですが、
見事に「大河ロマン」のヒロインとしての「生」を果たしています。

彼が死にたくなるのも、(少しは)分かりますよ。全てを思い出したんですから。
でも、その死に方が本当に嫌悪すべき方法なのです。
カラヴァッジオに対して、自分はもう死んでいると語りながら、ハナに注射を
頼みますよね。それが許せません。(断言)

僕が好きな「大河ロマン」例えば、『心の地図』、『パスカリの島』、『存在
の耐えられない軽さ』、『愛と宿命の泉』では、それぞれのキャラクターが
キチンと自分の「生」とそれに纏わる「代償」に関して「精算」をしております。

彼は自殺も出来ない状態でしたでしょうか?そう思わせていただけです。
少なくとも、自分からモルヒネ注射を頼むという安直な死に方は止めて頂きた
いです。あのモルヒネがあればもっと多くの人々を救うことが出来たのです。
で、彼は何をすれば良かったのか?
ハナにここを立ち去るように申し渡すことだけです。そうすれば自分自身の
「生」に「ケジメ」はつけられた筈です。
もっとも看護婦としての倫理から、ハナが断わるのは眼に見えていますが、
その申し出をした上でモルヒネを注射するのならばまだ納得が行きます。

「本を読んで安らかに眠りたい」だって。甘えるんじゃないよ。(激怒)
あんたは本当にエゴイストだね。心底軽蔑したよ。
自分が死んでいるのならば、何故他の人間に迷惑を掛けるのさ。
『心の地図』のアビック様の爪の垢でも煎じて飲みやがれ。フン!

でも、ハナは優しい方ですね。(感動)
彼女の生き方が「大河ロマン」のヒロインとなっているのは、ヘロドトスの
本を教会に置いておく事だけで伺えます。これこそ「大河ロマン」ですが、
残念ながらアルマシー伯爵の生き方に軽蔑したもので、認定はしないで
おきます。大変に申し訳ありませんが、何卒お許しください。


*****好きな方は極力読まないで欲しい罵詈雑言モード*******


何だかんだと書きながらも、物語として非常によく出来ているだけに本当に
残念でした。

「大河ロマンを愛する会」 大倉 里司(HCD05016)

BGM:オリジナル・サウンド・トラック『イングリッシュ・ペイシェント』

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『イングリッシュ・ペイシェント』評価編に行く(^^;;

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