(舞)『火の鳥』

皆様、御機嫌如何でせうか?わたくしマダム・DEEPと申します。

帝都で行われた、中国映画祭97の最後のプログラム『火の鳥』
を鑑賞して参りました。

共同監督と主演を御勤めになられました、楊麗萍(ヤン・リーピン)様
の「華」これは天性のものに甘んじず、それに磨きを掛けたものと
推察致しましたの。

彼女が舞つてゐるだけで、「光」が舞台の上から放たれ、それが
暗闇の中にある銀幕を鮮やかに照らし出します。

「美しひ………」

わたくしが思つたのは、ただその一つだけでしたわ。
華麗に舞われる指先一つにまで、繊細な神経が張り詰め、爆発寸前
に押さえる「技」。その瞬間に神々しくて思わず涙してしまひましたもの。

映画の方も、舞姫の性と言ひませうか、業のよふなものを感じさせる
極めて奥深ひ内容でしたわ。

雲南省奥地の少数民族が住んでいる地区で、ヒロインであるタナは
一本の映画を観たことにより、「舞ひ」の道を志します。

そして、村の長であるタオティンの存在。彼は呪術師であると同時に
呪術の一つとしての「舞ひ」の達人でありました。

わたくしは南方系の舞踏音楽には、今一つ疎ひので御座ひますが、
太鼓音には敏感に反応してしまいますの。

本来「芸能」の始まりが、地上に降りてきた神々を祝ふもので、それを
感じ取る為に音楽と「舞ひ」が生まれたものならば、タオティンの
「孔雀舞」の時のトランス状態こそが、始まりにして終わりの姿のよふ
な気が致します。

そして最後に魅せるタナの「孔雀舞」これは、人によって好みが分か
れる。そふ考へますが、わたくしはあの衣装を着けなければ駄目で
あつたと考へております。

ドレスの裾がゆっくりと空を仰ぐよふに優雅な広がりを見せていくとこ
ろだけは、身体表現だけでは難しひものが御座ひましたから。

舞ひを終えた後に万雷の拍手が鳴り響きますが、わたくしも心中で
喝采を贈っておりました。

『裏社交界の徒花』 マダム・DEEP(HCD05016@nifty-serve.or.jp)

BGM:ヌスラット・ファテ・アリー・カーン『ASIAN DUB FOUNDATION』

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