(困)『苺とチョコレート』

『パリ、夜は眠らない』に次いで観たのが、キューバの『苺とチョコレート』
「喋らなければ、良い男」と言う表現がありますが、この映画は、「喋らなけ
れば、良い映画」なんですね。(--;)

ゲイのディエゴを演じたホルヘ・ペルゴリア様は、各国の映画祭で絶賛された
だけあって、非常に上手い。女の面を付けながら、時折男の顔を覗かせる「間」
は良いし、全編を通して映し出されるハバナの町並みも非常に美しく撮れている。
そして芸術を愛する青年と言う設定だけあって室内装飾は完璧に近い……ですが、
ホントに喋りだすと駄目なんです。

これほど迄に、「説教臭い」台詞とまるで釣り合っていない演出が折角の名演
を台無しにした見本でしょう………と書きながら軽く紹介を。(^^;;

青年共産同盟のダビド(ウラディミール・クルス様)は、公園の喫茶店で苺の
アイスクリームを注文するゲイの青年ディエゴ(ホルヘ・ペルゴリア様)に見
初められる。ほぼ強引な手段で部屋に連れて行かれる。しかし、主義、主張以
前に(これが正解だと思うのですが……)生理的にゲイを受け入れないダビド
は、ディエゴの部屋を逃げ出すことに成功。だが、ダビドの友人にそのことを
話すと……ディエゴは要注意人物だから監視しろ(--;)と唆されたダビドは
再びディエゴの部屋を訪れる。度々会っている内にお互いの共通点と相違点を
見出した二人だったがディエゴの企画した彫刻展が当局の御怒りに触れ、突然
開催を中止される……抗議運動を繰り返すディエゴであったが、やがて………。

社会主義国における同性愛者の問題を取り扱った映画としては、初の試みとし
て評価はしますが、「愛国心」やら「同志」やらを持ち出されてしまっても
ディエゴのやり方が元々反撥を食らうやり方しかしていないので「浮いている」
感じが終始付き纏うんですね。これがキューバ以外の国で映画化しようと思っ
ても脚本段階で却下されるのは目に見えております。

例えば、同性愛に関して閉鎖的な社会であったヴィクトリア朝の倫敦を舞台に
した『オスカー・ワイルド』や、それから20年を過ぎた『キャリントン』で
も時代背景を描きながらも、この場合は「革命」や「国家」、「社会」に逃げ
ていないんですよ。まずこの部分で骨格が致命的に弱いんです。

それに……ディエゴのキャラクターが余りにも古典的すぎて勿体無い。
最初っから、ホモホモしい感じがして嫌味なんですよ……街を歩いている時か
らこんな風情でいれば誰だって警戒しますよね。最初からこのような設定にし
たのは演出ミスと言えるでしょう。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2000年1月19日ビデオにて鑑賞)

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