(転)『ハンニバル』

ハンニバル・レクターが帰ってきた。カニバル(人食い)の別名と、医学博士
の肩書きを持つ連続猟奇殺人鬼。天才的な頭脳と豊かな教養の持ち主として
知られる彼は、フェル博士と名前を変え、カッポーニ宮の司書の座におさま
っていた。逃亡生活を続けながらも、ずっとクラリスの動向に目を光らせて
いた彼は、仕事上のミスで痛手を負ったクラリスに手紙を送る。
「クラリス、いまも羊たちの悲鳴が聞こえるか……」

サー・アンソニー・ホプキンスさまの安易な使い方を憂慮している自分です
がこのシリーズ3作目を予定しているのだったらケビン・スペイシーさまの
ほうが良いんじゃ無いのか?とひぐらし御嬢様ならずとも思います。

ハッキリ言って書き難い映画でして、つまらなくは無いけど、かと言って面
白いか?と言えばそうでもない。罵詈雑言を浴びせられればどれだけ楽かな
ぁ……と思うんですが、妙に惹き込まれる部分があって性質が悪いんです。
一言で言えば「御縁がありませんでした」映画なんですが……グタグタ書いて
みましょうか?<極悪

二代目クラリスを演じたジュリアン・ムーアさまは良いんですよん。個人的
には”クラリス・スターリング”と言う女性を好きには為れないのですが、
まあ………自意識過剰のお局さま的存在ですかぁ……(--;)まあ、上手いです。
ジョディ・フォスター版初代クラリスの頃は初々しさが残ってましたからねぇ。
でも……これは、ジュリアン・ムーアさまの責任じゃないんで仕方ない。

それよりも不満大なのは、”ハンニバル・レクター”博士……サー・アンソニ
ー・ホプキンスさまに苦情を言いませんが、今回は出てくるだけで「安心キャ
ラ」でして、全然怖くない………”心暖まる癒し系”と為ってしまっているん
ですねぇ。

だってねぇ……レクター博士は、クラリスに指一本触れない「騎士」としての
登場ですので、出てくるとミョーに安心リラックス……叔父様はセクシーなん
で無料で延長OKよん♪になってしまうんです。そして凄いのは「理由」が明
白でして、御食事の際の「ブラックリスト」の規範が決まっているんですねぇ<律法♪

別に怖くないのは良いんだけど、前作に比べて「何が起きるのか?」と言う不
安と緊張が欠如して仕舞ったのは、旧約→新約へとイエスによって契約の変更
が行われ「荒ぶる神」→「愛の神」に変化してしまった神学的理由か?(謎)

言うなれば「ヨハネの黙示録」映画版的な見解を持ってしまったのですよねぇ。
前作『羊たちの沈黙』で「荒ぶる神」から、今回の『ハンニバル』で「愛の神」
へと昇華した神は、契約を守らない民を罰する……

レクター博士は悪魔か?と言えば違うと思うんですね。彼は「神」の側にいる。
ですから……契約を破ったものを罰する立場なんです。で……「悪魔」は……
「神」によって皮を剥ぎ取られた大富豪メイスン・ヴァージャーだと思ってます。
何故、彼だけがレクター博士の犠牲者でありながら、唯一生き残っているかと言
えば、「神」から42ヶ月間活動する権威を与えられているからなんですねぇ。
こんなことを許されている存在は、他には居りません。何と言ってもイエスさま
公認なんですから強い♪<三位一体説♪

と……こじ付けがましくなりましたが、どーも、レクター「悪→善」のキャラク
ター変化を付けるには、この神学的説明で片付けるのが一番早いと思うんですよ。

感心したのは、平行撮影(?)ですか……リドリー・スコット程、尾行シーンを
撮るのが上手い人は居ないんでは無いのか?と思った点なんです。
『ブラックレイン』の大阪の魚市場から、神戸市の旧協和銀行元町支店への撮影、
また冒頭に出てくるバイク競走の平行撮影。『ブレードランナー』での商店街ア
ーケードでのレプリカント追撃シーンなど、常に追うもの、追われるものを同時
に写し、画面構成上の黄金率が取れているんですね。
今回は、ジャンンニーニ演じたパッツイ刑事の手先となった、スリとレクター博士
の尾行シーンでこの「黄金率」が生きていた気がします。

自称「カルト部屋御挨拶係」大倉 里司
(2001年4月27日 新宿東映パラスにて鑑賞)

BGM:J.S.バッハ作『ゴルドベルグ変奏曲』

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