(青)『ハリケーン・ストリーツ』

どことどう言って新しいところは無いけれども、とても「愛しい」一本。
サンダンス・フィルム・フェスティヴァルにて観客賞を受賞した作品
に相応しく「小品の佳作」と言う表現が此れほど似つかわしい作品
はないでしょう。

ニューヨークのイースト・ヴィレッジに祖母と共に住む少年マーカス
は、ささやかな夢があった。それは刑務所に居る母親が出獄し、
死んだ父が住んでいたニューメキシコの牧場で母と共に暮らすこと。

そこにメレーナと言う少女が絡んだり、店の客が絡んだりと言う
定番通りの展開をするのですが、良いものは良い。(^^)

万引きをしたり、大人の世界によって隠された嘘が露見したり、
誰にも知られない隠れ家があったりと、恐らく誰でも一度は体験
していそうな事柄を実に丹念に描きだしております。

非常に「街」が生きているんですよ。これが。
それに、主役のマーカス役を務めたブレンダン・セクストン・Jrは
無名の俳優ですし、顔もお世辞にも美形なりハンサムとは言えない。
でも、監督を初めとして作り手に「愛」があるから、光の当て具合等
によって非常に美しくそして可愛く撮れている。

どんな脇役にも見せ場を用意して華を持たせる。

こういう風に一人一人の役者を大切にする監督は宝です。

日活が配給権を買ったそうです。
大都市圏のレイトショー扱いになってしまう映画でしょうが、ずっしり
した感動は約束できないけれども、何か「ちょっと良い映画」を観た
という気分にさせてくれる映画です。

大倉 里司(HCD05016@nifty-serve.or.jp)

「は」行で、はじまる映画の感想に戻る

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送