(路)『ヘッド・オン』

オーストラリアのメルボルンに住んでいるギリシャ系移民の二世アーリ(アレ
ックス・ディミトリアス様(*^_^*)(ポッ))は、定職も無く、日々をダラダラと
過ごしている。一世の父ジョーは、そんな息子を叱っており、当然のことなが
ら親子の間には深い溝が出来ていた。アーリの日課は、ドラッグを仕入れて転
売すること……行きずりの男とセックスをすること……。

いや……参った。こんなに痛い映画だとは思わなかったです。
大まかなストーリーは、上記に書いた通りなんですが、移民である一世の父と
二世との間の意識のずれ、更にアーリを初めとして、移民二世のドラッグ・ク
イーンのジョニー、唯一カラードで無い(名前からしてアイリッシュorスコテ
ィッシュか?)のショーン等ゲイで構成されているんで二重苦、三重苦の世界
なんですね。

監督のアナ・コッキノス様は1959年生まれのギリシャ系オーストラリア人
でして、脚本も共同執筆していることから、恐らく実体験として感じるところ
が在ったのでしょう。

この映画の強みは、アーリを演じた、アレックス・ディミトリアス様の魅力と
脇を彩る多種多彩な人種のるつぼ的な情景です。他民族国家の中でそれを際立
たせることによって、伝統と革新……と言うほど大袈裟では無いですが……世
代の格差というのかなぁ……自分も含めて一度は経験した痛みを描いている。
だから普遍性が生まれたし、その中でもマイノリティとしてのゲイの存在であ
るんで、益々痛い……(涙)

彼……凄くセクシーなんですわ。確かに行きずりの男とやっていても、絶対に
相手は断らないタイプです。(彼のほうから断ること多数アリでしょうねぇ(涙))
結婚式での民族音楽(ギリシャ系と言うよりも中東音楽ですねぇ)それからする
と相手は中東某国からの移民か?のパーティを途中で抜け出し、リボンと蝶ネク
タイを外し、一目でハッテン場だなぁ……という匂いがするトイレへ(^^;;
と……レーザーのマッチョのお兄さんが……ですねぇ。もう、此処で目もあちら
もギンギンなんですが(笑)でも……何か一抹の寂しさと言うか、何を目指せば
良いのか判らない哀しさ……痛さが、そうした場面の後に滲み出てくるんです。

確かにセックスはしたい。でも、それに代わるものがあれば……無いからまた
ヤッてしまう。彼も、ぼくも判っているからお互いにジンジンと伝わってくるん
です。

最後の方なんかは、本当は好きな男と誘われて、寝るところまで行って結果的に
自分で壊してしまう……まあ、これが出来るのは、アーリさん、アンタがセクシー
でもてるからなのですが(涙)でも、セックスの最中は我慢していても、それ以外
のところで自分から壊してしまうことって良くありますからねぇ……

船付き場に行って彼は舞う……そのときのモノローグで、シビレまくりました!
傑作と言っても良い出来だと思います。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2000年7月20日 第9回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭にて鑑賞)

BGM:One Little Creature『One Little Creature』

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