(毒)石井輝男の『地獄』

個人的には、第12回東京国際ファンタスティック映画祭前夜祭の「格」を一
挙に高めたのが、石井輝男先生の『地獄』なんですね。

まあ………この作品が間違っても第12回東京国際映画祭のオープニング作品
に選ばれることは無いでしょうが………異端でこそ輝く光があるんです!と感
じたのがこの映画。

でもなぁ………皇族も出席したことがあるオープニング・セレモニーの直後に
これを掛けてくれたらマジで映画祭事務局にシャンパンを贈りそう(^^;;

と………言うのは、この作品ですが、「タブー」と言う意味においては、これ
以上無いタブー(と言っても「報道」で許されても、「映画」では禁忌になっ
てしまうのが不思議ではあるのですが………(毒)

即ち………オウム真理教事件、毒入りカレー事件、幼児暴行殺人事件等、審理
中の事件の当事者を黄泉の国に連れて行き、閻魔大王に裁いて貰おうと言う前
代未聞の凄まじさ。\(^0^)/

法治国家(と言うよりも………現在の報道に関しては、放置国家)にはあるま
じき映画なんですよ(笑)

ぼくも、一応法律の専門的な学習はしてきましたので、ハッキリと言えば「や
っては為らぬ事」なんですね(ぼくは、死刑廃止論者です)

現世の法治国家においては、有罪無罪はあくまでも裁判所が決めるもの。国民
の意思に因って、法律が曲げられることを嫌う人間のひとりではありますが……
それでも、ぼくはこの映画を支持致します。

と言うのは、先ずは、何と言っても「面白いこと」が原則としてあって、現実
の事件をなぞってはいるのですが………その切り方が秀逸なんです。

自慢では有りませんが、オウム真理教に関しては50曲以上の替え歌を作り、
カラオケボックスで「替え歌大会」を主催したこともありますが……
完全にこの映画を観ていて「負けた………(^^;;」と思いましたもの(笑)
ホントにこれを観ていて思うのですが………「ワイドショーは何をしていたの
か?」と思ったのですね。

僅か101分の映画の中に込められた「熱情」と「毒」………そして「狂気」
今迄ワイドショーが何十時間も掛けて追い続けてきたことの総括が、この一本
のフィルムの中に凝縮されております。

配役も素晴らしく、閻魔大王を演じた前田通子様は、閻魔大王が、実は地蔵菩薩
の化身であったとの説も素直に肯けてしまうほどの「品」があり、実に魅了され
ました。

そして………何と言っても丹波哲郎先生のド迫力!\(^0^)/
登場するなり、場内大喝采の雨あられ………ラストを鮮やかに〆てくれました。

11月20日より上野スター座他の公開になりますが、オウム真理教事件にリアル
タイムで接してきた我々必見の映画でしょう。推薦致します。

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(10月29日 第12回東京ファンタスティック映画祭前夜祭にて鑑賞)

『地獄』の公式サイトは此方です


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