(毒)『天井桟敷のみだらな人々』

皆様、御機嫌如何でせふか……わたくし、マダム・DEEPと申します。

久々に「毒」と「官能」、そして「愛」 に彩られた映画を鑑賞できまし
たの……(につこり)

『ミラーズ・クロッシング』等で、コーエン兄弟の常連となつてゐる、
ジョン・タトゥーロ様の二回目の監督作品ださふで、配役も絢爛豪華
ですことよ……

野心家で、新作の戯曲を何とかして上映したひ劇作家トゥッチオ様
には、ジョン・タトゥーロ様、世紀末に漂ふ「毒」に彩られた演劇批評家
ベヴァラクア様には、クリストファー・ウォーケン様、役と名声の為には
努力(?)を惜しまなひ女優セリメンには、スーザン・サランドン様、劇場
の女主人にはビヴァリー・ダンジェロ様、若手女優の「桃」を目で追ふ
若手スタアにはルーファス・スーエル様……etc、とまあ一つの舞台を
巡つての「毒」と「偽善」溢れるやふな工作と駆け引きの様が正に圧巻
でせふ……。

さふした方々の描写を前半に盛り込み、後半は「演劇論」的な側面を
見せてくるのが興味深ひところですわ……。

「映画」として見せるのでしたら、後半になつてトゥッチオ様が、彼が作
つた戯曲『イルミナータ』の主演女優であり、彼の恋人でゐらつしゃる
レイチェル(キャサリン・ボロウィッツ様)との絡みは不必要として切り
捨てるところを、「演劇の多様性」そして……「作為性」……宣伝文句
にも御座ひましたが……「人生なんてすべてお芝居」に象徴されるや
ふな「虚」と「実」そして、「現実」と「演劇」を通す一本の架け橋として
機能してゐるのでせふ。

その侭、前半の調子を持つて来ずに「映画」としての受けの悪さを先刻
承知の上で、「演劇」に対して惜しみなひ「愛」と「敬意」を注ぐジョン・
タトゥーロ様の表現方法は、「優雅なる反逆」に満ち溢れ、「真実の毒」
は、わたくしにとりましてプアゾンの香りを漂わせたもの……。

「映画」も素晴らしひものでせふが、「演劇」の持つ力も再認識させて下
さひました貴重な一本でせふ。

この映画だけは、カンヌ映画祭の会場にて扇子を揺らしながら、桟敷席
で拝見したく存じましたわ……。

さふしたとき……わたくしは、「真の毒」を込めた熱ひ拍手を惜しみなく注
ひでいたでせふ。(きつぱり)

「裏社交界の徒花」 マダム・DEEP(HCD05016@nifty.ne.jp)
(5月1日 シネスイッチ銀座にて鑑賞)

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