『自梳〜ツー・スゥー〜』

1997年の東京国際映画祭で、ただ一回のみディレクターズ・カット版が上
映された本作。親友の一人が「これは、絶対に大倉さん好みの”大河”」と強
く薦められたまま、観ることは叶わずと思っておりましたが、今回の映画祭で
観ることが出来ました。m(__)m

第二次世界大戦前夜の中国広東省に、親に決められた結婚を拒否し、一生結婚
しないことを誓った「自梳」と言う共同体があった……。ヒロインのフーン
(チャーリー・ヤーン御嬢様)は、親の借金のカタに好きでも無い男性と結婚
を迫られている身。彼女は必死の思いで「自梳」に逃げ込み、とある貴人の助
けによって自由を得る。一方のヒロインのワン(カリーナ・ラウ御嬢様)は、
若手実業家の八番目の妻となっているが、元娼婦と言うことが仇になって……
商売の取り引きに使われてしまう身。この二人が出会い……そして、数十年の
時を越え、年老いたフーン(グァ・アーレイ様)の回想と現在とが交錯してい
く………。

言いたくは無いですが、二つ大きな欠点があるんです。(涙)

まず、ディレクターズ・カット版では161分の上映の為、第一の欠点は補わ
れていたのだ……と思っていますが、「自梳」と言う共同体の中でヒロインの
立場が分かり難いのですね。彼女が「無縁」の地へと命を賭けて逃げ込む場面
は秀逸でして……逃げ込んだ迄は良かったが、男衆が詰め寄ってきて女たち、
そして幼子供までも必死になって彼女を守り通そうとしている…(落涙)
ええ、この子供の使い方が憎たらしい位にウマイ!小さな手で鋏を男に向けて
いるんですね……この毅然とした表情だけで……既に滂沱の涙……(T。T)
そして、詰め寄る母親……クサイなぁ……と思いつつもやはり涙……。
が……救い出されると……一転して次のシーンになって、この「自梳」と言う
「無縁」たる「公界」がどういうシステムなのか……彼女はどういう立場なの
かが説明されて居ないんですね。161分のディレクターズ・カット版では、
主にこの部分に描写を割いていたと思うんです。二つの大きな柱があって、ヒ
ロインを主体に過去と現在に分かれて行く様な……。117分のインターナシ
ョナル・バージョンでは、この「公界」の部分を削ぎ落とした為、非常に勿体
無い作りになってしまっています。(涙)

もう一点は、戦争が悪化し、二人で米国に逃げようとした時に離別してしまう
んですが、この辺りの描写が希薄なんです。これは編集では無くて、最初から
のものでしょう。言わば「キモ」の部分ですから……。

しかし……ここから現代に持ってくるパートなんですけれども、文句無しの大河。
今迄の欠点は全て帳消し(そうか?……(^^ゞ)まず、ヒロインの名乗っていた
名前が自分の名前では無く、彼女の名前だったところで……爆涙。
「自分では無く、彼女に生きて欲しかった……」とのセリフが重い。その為に名
前だけでも………そう、これが大河の奔流。そして、幼馴染みで彼女を妊娠させ
た挙げ句棄ててしまった男が現在は年老いて………とか、重点的に「ツボ」を爆
撃されるものだから………喉は涸れるわ、鼻水が出るわ………恥かしいなぁ……
と思っていたら前のビアンの御嬢様も泣いている(^^)(^^)(^^)(ウンウン)

で……ラストでしょう……判っていますねぇ。(感涙)

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2000年7月20日 第9回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭にて観賞)

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