(友)『JSA』

「1999年10月28日午前2時16分。11発の銃声。2つの死体。共同警備区域(JSA)
で何が起こったのか?」

これに総て集約されている名コピーですが、ちょっとだけ蛇足説明を……
南北分断の象徴である38度線上の共同警備区域(JSA)で起こった射殺事件。
事件の当事者で生き残ったのは、たった二人。韓国側の兵士イ・スヒョク
(イ・ビョンホンさま)、北鮮側の士官、オ・ギョンピル(ソン・ガンホ
さま)は、お互いがまるで異なる陳述をしていた。
両国の合意で、永世中立国のスエーデンとスイスから為る中立国監査委員
会から派遣されたのは、韓国系スイス人ソフィー(イ・ヨンエ御嬢様)だ
ったが……

ネタばれ抜きで語るのは難しいことでして、仕立てとしてはシンプルなの
です。ミステリー映画として王道型の「そこで、何があったのか?」に
集約されてしまうのですから。
但し、今回は38度線の最前線に係わった南北両兵士の苦悩と葛藤が一本
の大きな柱となっているので、明らかになっても面白味が減る訳では無い
と思うのですね。
『シュリ』の場合は、南北分断のテーマを背景にした恋愛劇でしたが、今回
はバリバリのポリティカル・サスペンス♪その勢いたるや絶頂期のコスタ・
ガブラスすら思わせるものがあります。

一つだけ書いてしまうと、『JSA』の悲劇性とは「良かれと思って行なっ
たことが裏目に出てしまう展開」でして、自分が一番好きな悲劇のパターン
なんです。南北両軍とも「いい奴」でして、ごく普通の青年であったことが
より悲劇性を倍増させていると申しましょうか……
そして、第三者の「善意」によって、更に破滅への階段を転げ落ちる展開。

悲劇の芽は、1945年のソ連軍による北鮮侵攻に因って南北が分断され、
1950年に勃発した朝鮮戦争によって更に固まり……早くも50年が過ぎ
ようとしております。

一朝一夕には解決出来ない難問ですし……「隠しておくのが平和の為」は、
哀しいことですが正論。それを判った上で「考えるヒント」としての大きな
一歩を踏み出した記念碑的傑作と確信いたします。

何時になったら38度線が取り払われ、真の意味での「大光復」が行われる
のでしょうか……

「大河浪漫を愛する会」大倉 里司
(2001年6月1日 ワーナーマイカルシネマズ 市川妙典スクリーン3にて鑑賞)

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